蒼井優(以下、蒼井) はじめましてのときは普通に「よろしくお願いします」と丁寧に挨拶してくれる感じだったのに、撮影始まって2日目くらいに松居から「馬鹿野郎!」と言われたの。私、ホテル帰って泣いたもん。

松居大悟(以下、松居) 嘘つけ(笑)! 撮影してると、みんな平等に仲間だ! となるから、その流れで言っちゃったんだろうな。

蒼井 いつからこうなっちゃったんだろうね、私たち(笑)。

運命!? たまたま会った
出身も年齢も同じ監督

画像: ワンピース ¥63000/ユニット&ゲスト(トップショップ ユニーク) ロングスリーブTシャツ ¥16000/ボウルズ(ハイク) リング¥330000/バーニーズ ニューヨーク カスタマーセンター(マルコム ベッツ)

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蒼井 私、松居のデビュー作『アフロ田中』は観ていたけど、監督の年齢までは認識していなくて。『アズミ〜』の撮休で東京に帰ってきたとき、松居が監督した映画『私たちのハァハァ』を一人で観に行って、ハァハァTシャツを並んで買いました。

松居 それは嬉しい。

蒼井 それまでは男子を撮る監督という印象が強かったんだよね。夢見る悶々とした男子にスポットを当てている人だと思ってた。でも、今回描かれるのは女性で。しかも、高校生から30歳を迎えるまでの女性たちってものすごい勢いで生きるじゃないですか。だから、監督にどう撮られるのかしら? と思って、楽しみだなと。

30歳という節目だから
できたことがあった

蒼井 私は今、20代後半でやってくる第二思春期を超えた年齢。その感覚を実際の自分の経験として味わっているからこそ、春子と高畑充希ちゃん扮する愛菜の最後のシーンをすごく理解できたんです。手を差し伸べたくなるけれど、自力でおいでと思う気持ちもわかる。あれは、第二思春期のまっただ中の私にはできなかったなと。山内さんがこの作品を書いたのも、多分33歳頃ですよね。山内さんも第二思春期を抜けたから書けたんじゃないかなと思う。

松居 僕も、今回は大好きな山内さんの原作でもあって、主演の蒼井さんと、プロデューサーの枝見洋子さんとも同じ歳で。あまり意識はしてないつもりでいたけど、30歳の節目の作品だと計らずも考えざるを得なかったんですよね。

 今までは、こういうものにしようとか、こうしなきゃいけないとか何かしら考えを絞って撮ることが多かったんだけど、今回は30歳でやるんだし、整理せずに全部をやってみようと思って。信頼しているメンバーが集まっていて、絶対に面白い原作と脚本が目の前にあったから、もう僕がやるべきことはこの作品をちゃんと成立させることだけだと。後は感覚だ! みたいな。だから、結構リラックスして挑めたんです。

蒼井 そんな現場は、泥舟でしたけどね(笑)。

松居 とにかく行っちゃえ! みたいな感じだったからね。

蒼井 とりあえず、急いで漕げ! みたいな感じだったよね。枝見プロデューサーも「ビジネスとかそういうことじゃなくて、思いだけでこの作品を作ります」みたいなことを言ってたし。みんなで何とか漕いで公開にたどり着いた。

松居 参加してる人もみんな、思いだけでそこにいてくれてた。だから、これはどう転んでも間違いがないだろうと信じていて。僕の思いはもうどうでもいいから、みんなの思いを全部汲み取ろう。その思いは間違いないんだからと思って頑張りました。

蒼井 それで風邪引いたりしてたんだね(笑)。

一人歩きする自分像と、
どう向き合ってますか?

松居 僕は、たとえば、〝童貞監督〞と言われ続けることについては、めっちゃ気にしますね。

蒼井 自分がテレビとかでそう喋ったんでしょう(笑)? でも、「もう違うんです」とも言いづらいしね。

松居 でも、僕の場合、レッテルを貼られたら、その逆をいこうって面白がりだしますね。

蒼井 逆をいけてないでしょ?

松居 まぁね。でも、期待を裏切っていこうとはしますね。そっちこそ、存在が一人歩きしちゃうことあるでしょ?

蒼井 私は傷ついたほうがプラスになるんだったら傷つく。貧乏性だから、ただでは起き上がりたくないんですよ。転んでも何かしら拾いたいという気持ちがあって。もう年齢も年齢だし、ガードしようと思ったら傷つかないという選択はだいぶ前からできるんですけど、そうすればたぶん感性がにぶってしまう。そうなったら、この仕事はおしまいだから、傷ついたほうが正しいのかなと思うこともあります。全部その時々でこちらで判断させてもらってる(笑)。

松居 すごい、かっこいいな。

蒼井 私、松居には映画を作る、演劇を作るスタートラインをずっと変えないでいてほしいと思っています。そこからの飛距離は経験でどんどん伸びていくけど、スタートラインを変えちゃう人っていっぱい見てきたんです。でも、松居は変えないことができるだろうし、そういう監督が同じ歳にいるというのは心強いから。

松居 めちゃくちゃいいこと言ったな、お前。びっくりしたよ!

蒼井 今日はこの後、ごちそうになりますよ!

 
※フラウ2016年12月号より一部抜粋

◆ 続きは、FRaU2016年12月号をチェックしてね!
2016年 11月11日(金)発売 650円(税込)

画像1: 蒼井優×松居大悟「一人歩きする自分像と、どう向き合う?」 画像2: 蒼井優×松居大悟「一人歩きする自分像と、どう向き合う?」 画像3: 蒼井優×松居大悟「一人歩きする自分像と、どう向き合う?」

PROFILE

蒼井優 Yu Aoi
女優。1985年生まれ、福岡出身。'99年にミュージカル「アニー」で舞台デビュー後、『リリイ・シュシュのすべて』(01)で映画デビューを果たす。

松居大悟 Daigo Matsui
1985年生まれ、福岡出身。劇団「ゴジゲン」主宰。全作品の作・演出・出演を担う。MV制作やコラム連載、漫画原作など活動は多岐に渡る。

画像: PROFILE

映画『アズミ・ハルコは行方不明』
どこにでもありそうな郊外の街から、ある日突然姿を消した、28歳のOL安曇春子。街中に貼られた彼女の捜索願いのポスターとともに、ポスターをモチーフにしたグラフィティアートが拡散されていく。失踪前と失踪後、ふたつの時間軸を交錯させながら、20~30代女性の葛藤と解放を描く青春群像劇。12月3日より、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開。

 
Photo:Yuri Manabe Styling:Setsuko Morigami(shirayamaof¬ce) Hair&Make:Satomi Kurihara(air notes) Text:Tomoko Ogawa

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