24歳、社会人2年目、自他共に認めるごはん狂。平野紗季子。毎日朝から深夜まで仕事に没頭しては、美味しいものに救われる日々(でも、仕事は好き)。それって私のこと?と思った、すべての女子へ。明日からまた頑張るために、東京を生きる女子のための食堂へ、ご案内します。
 

画像: 平野紗季子 連載「粉々のシガールに寄せて。」

 
こないだ仕事でどうしようもなく理不尽な出来事に遭遇した3秒後に私は財布を持って近所のシュークリーム屋に直行していました。ほとんど本能的な決断でした。再起不能になってからでは遅いと思ったのです。

おかげで私は助かって、なんとか仕事を終えました。ありがとうシュークリーム、世知辛さを通さない外皮、隙間なく心を埋め守るカスタード……。お菓子の素晴らしさは社会人になってようやく理解できた気がします。闇がお菓子を美味しくするのです。残業後のパンケーキの美味しさは異常だし、デスクにお菓子で結界を張る先輩の気持ちもよくわかります。

とらやのミニ羊羹は2口で完食です(我にかえると自分の歯型がちょっと怖かったりします)。そんなわけだからこの殺伐社会を生きる上で「うっかり心が死ぬことのないように」と、私は常にこまごまとしたお菓子をポケットやカバンに忍ばせています。

ただしその習慣のおかげでどれだけのハード菓子(主にヨックモックのシガール)をカバンの底で粉々にしてきたことか。ここぞという時取り出せば既に星の砂のごときシガール。粉薬の要領でアーと顔をあげていただく粉々のシガール。それでも変わらずに癒やしの味わいで応えてくれる健気なシガール。ごめんねシガール。この場を借りて謝ります。そしていつもありがとう。
 

※フラウ 2016年3月号から引用

PROFILE

平野紗季子 Sakiko Hirano
フードエッセイスト。1991年生まれ。小学生から食日記をつけ続ける生粋のごはん狂。


文・平野紗季子 撮影・新津保建秀 取材・林理永

コメントを読む・書く

This article is a sponsored article by
''.