24歳、社会人2年目、自他共に認めるごはん狂。平野紗季子。毎日朝から深夜まで仕事に没頭しては、美味しいものに救われる日々(でも、仕事は好き)。それって私のこと?と思った、すべての女子へ。明日からまた頑張るために、東京を生きる女子のための食堂へ、ご案内します。
 

画像: 平野紗季子 連載「グッドモーニングが自分の言葉になる。」

真夜中が一番楽しい。毎日は真夜中に向かって最高で、そのかわり早朝はいつだって最低……。もしそんな人間が無理な早起きを続けたりしたらどうなるのだろう。

スヌーズにつぐスヌーズによるこの世の終わりのような地響きが夢の先からベッド一帯にグワングワンと押し寄せて私は床へと転がり落ちる。その情景はまさにバッドモーニング。低血圧と怠惰を捏ね上げた憂鬱の塊をずしんと背負って家を出る午前9時、外は真夜中よりも暗かった。buikが近所にできるまでは。

レストランの存在はいつだって人ひとりの人生を簡単に変えてしまう。私にとってbuikの登場は革命的だった。家と仕事場のあいだに忽然と現れたその店は、朝の8時にオープンする。眠気まなこで扉をあければ、目の前に真っ白の世界。青空よりも澄みわたり朝日に愛されたキッチンで、店主(一体何時に起きているんだろう? 白目)がひらりと手を動かすたびに美味しそうな音と匂いが広がっていく。

手を伸ばせば届くところにこんな朝もあるのだよ。焼きたてのマドレーヌ、トーストにざりざりとバターを塗る音、紅茶の香りが鼻を抜けた瞬間にはじまる前向きな予感。あんこトーストはいかがですか? 香ばしく焼けた食パンに自家製上品あんことシチリアの塩と冷たいバターのカクッとしたコクが混ざり合う最初の右角一口目、本当にたまらない(今私は世界中のありとあらゆる角の中でbuikのあんこトーストの角が一番好き)。

そうつまり、buikの朝ごはんを食べさえすれば、誰だってグッドモーニングが自分の言葉になる。
 

buik
東京都港区南青山4-26-12 1F
☎03-6805-0227
営業時間:8:00~18:00
定休日:日・月

 
※フラウ 2016年3月号から引用

 
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PROFILE

平野紗季子 Sakiko Hirano
フードエッセイスト。1991年生まれ。小学生から食日記をつけ続ける生粋のごはん狂。


文・平野紗季子 撮影・新津保建秀 取材・林理永

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