現在の日本映画界で、「家族ドラマ」の名手といえば、是枝裕和監督。この新作では、阿部寛が演じる自称・作家のダメ中年男を主人公に、団地で一人暮らしを続ける母、別れた妻に引き取られた息子との関係が、いつものごとくリアルすぎるセリフで展開していきます。

注目すべきは、是枝監督自身が9歳から28歳まで実際に過ごした団地で撮影されている点です。冷蔵庫のドアで体をあおいだり、小さな浴槽で長身の阿部寛が四苦八苦したりと、監督の体験が重ねられたような何気ない日常描写の数々が、とことん微笑ましいのです。

そして本作は、要所で胸に突き刺さる名言が用意されています。「なりたい大人になれると思ったら、大間違い」、「幸せがないから、生きていける」、「なんで男は“今”を愛せないのか?」など、観る人それぞれが自分に言い聞かせたくなるセリフを発見できるはず。そんな名言の数々が、あざとくなくドラマにとけこんでいるので、誰もがどこかで必ず自分自身や、家族との関係を重ね合わせてしまう……。それが是枝マジックなのです。

5月21日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他 全国ロードショー
『海よりもまだ深く』

画像: ©2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ

©2016 フジテレビジョン バンダイビジュアル AOI Pro. ギャガ

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