フランスの郊外にある古びた団地(「マンション」と呼べる雰囲気はゼロ)を舞台に、3組のドラマが同時進行する本作は、人生の哀愁や、ディスコミュニケーション、皮肉なユーモア、そして人と人の本心での関わりなどがバランスよく散りばめられ、あちこちで胸の奥をツーンと刺激します。大げさに盛り上げるのではなく、サラリとした描き方によって、逆に忘れがたいホッコリした後味を残してくれるのです。

車椅子生活になってしまった中年男と看護師の恋に、中年女優に勇気を与える自由気ままな青年のドラマ、そして団地の屋上に「不時着」したアメリカ人宇宙飛行士と移民女性の交流。3つのストーリーは、どれもやや極端なシチュエーションで、観る人それぞれ、感情移入のツボも異なるはず。でも必ず、登場人物の誰か、あるいは状況のどれかに、深い部分で共感してしまう。「団地ムービー」としての本作の成功の要因は、そこにあるのでしょう。

画像1: © 2015 La Camera Deluxe - Maje Productions - Single Man Productions - Jack Stern Productions - Emotions Films UK - Movie Pictures - Film Factory

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あえてひとつ挙げるなら、言葉も通じない宇宙飛行士を親切にもてなすマダム・ハミダのエピソード。その微笑ましさは、おそらくトップの共感度かと思われます。英語とフランス語でまったく会話は噛み合ないのに、人間として飛行士をもてなすマダムの行動は、母性愛にもあふれ、観る者をやさしい気持ちにさせてくれます。思いも寄らぬ出会いが、人生の大切な財産になる……。これまでも多くの映画で描かれてきたそんなテーマが、素直に心にしみわたる、フランス映画からの贈り物です。

2016年9月3日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ(モーニングショー)、シネ・リーブル池袋ほか全国順次ロードショー

『アスファルト』

画像2: © 2015 La Camera Deluxe - Maje Productions - Single Man Productions - Jack Stern Productions - Emotions Films UK - Movie Pictures - Film Factory

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