本木雅弘という俳優は、「すばらしい映画」を引き寄せる才能をもった人かもしれません。20代での『シコふんじゃった。』に主演し、数々の賞を受賞。その後、『おくりびと』はアカデミー賞外国語映画賞の栄誉に輝き、昨年の『日本のいちばん長い日』では昭和天皇役の演技が話題になりました。そんな彼の新たな代表作だと断言したいのが、この『永い言い訳』です。

主人公の衣笠幸夫は、有名な元プロ野球選手と同じ名前(漢字は違う)という負い目をもつ作家で、どこかひねくれた性格の持ち主。妻が旅行先で事故死するのですが、夫婦の愛はとっくに冷めており、彼は涙を流すこともできません。ありきたりの感動作なら、こうした主人公が妻への愛を再確認する展開になるでしょう。でも本作は意外な方向から幸夫の心の変化を描き、彼の複雑な感情に観客を引き込んでいきます。一見、シビアな設定ですが、あちこちにユーモアや、ほっこりする描写も込められており、自然と幸夫に感情移入してしまうのです。

幸夫は、同じ事故で亡くなった妻の親友の一家と時間を過ごすようになります。まるで父親が二人いるような家族の風景は斬新。傲慢な言動が多かった幸夫が、初めてめざめる父性愛によって、自分の気持ちに素直になっていく……。この繊細な変化は、並大抵の俳優では不可能。本木の演技は、ぎこちなさも含めて完璧です。最高の主演俳優を迎え、西川美和監督にとっても新たな代表作になりました。

10月14日(金)全国ロードショー
『永い言い訳』

画像1: (C)2016「永い言い訳」製作委員会

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画像3: (C)2016「永い言い訳」製作委員会

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