若いことが美しいという
世の中の風潮を変えたい

―― 取材のあった日の数日前、小泉今日子さんと社会学者の上野千鶴子さんが雑誌で対談し、そこでのトピックスが、ネットでニュースになっていた。

「この間、小泉さんの対談〝アンチエイジングって言葉が嫌い〞って記事を目にしたんですが、私も全く同感です。アンチエイジングって、ヘンな言葉ですよね? 日本の社会には、女性は特に若いことをよしとする風潮がある。ヨーロッパでは、女性はマダムにならないと認められないのに、これはやはり日本の男の人が幼稚だからじゃないかとどうしても思います。もちろん若いことは美しいし、本当に素晴らしい。でも、若ければ良い、というような風潮は、私たちくらいの世代が変えていかなくては……というか、変えていきたいなぁと。

画像: ブラウス ¥68000/ブランドニュース(マメ) パンツ¥49000/エーピー ストゥディオ(ヨルケ) ピアス ¥416000/ミキモト カスタマーズ・サービスセンター(ミキモト)

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 20代は、キラキラしているけど辛い。何もかも初めてで自分に対して無理をして。私は、今の自分の方が自分らしいし、好きです。人から見てもきっと、今の私の方がいいんじゃないかなぁ、と思います。でも、それは当り前なんですよ。だって20年増しで自分と向き合ってきたんですから。だから人生は、年を重ねる程愉しくなるはずだと本当に思っているんです。

 勿論、年齢を重ねればシワとかシミとか色々でてきます。私も自分の出ているドラマを観てうわー、と思う時もある(苦笑)。でも、例えば長年付き合っている友人が笑った時にクシャッと目尻にシワが寄る。それを私は、とても愛しいなと感じるんです。なんかホロッとしたりして。シワは、年輪。笑いジワとかよいシワは素敵なもの。シワひとつない顔よりもずっと魅力的だなと思います。

 だから、女の人がちょっと太ったり年をとったりするとすぐに「劣化」と書く、あれは本当に不快です。みんな同じように年をとるのに。時間の流れだけは平等なのに。芸能界を見渡すだけでも、素敵に歳を重ねている先輩が沢山いらっしゃるし、私も年相応に変化していくと思います。4年後は東京オリンピックがあり、日本は海外からの注目を更に集めるわけで、シワ=劣化と決めつけるような幼稚なことでは本当に恥ずかしい。社会が大人になっていかないといけないと思います」
 

人って、その年なり
じゃないと意味がない

―― この10月で47歳になった。若く見られるけれど、「若いですね」と言われることがそんなに嬉しいわけではない。むしろ、〝その年なりの人〞になっていることに、彼女はこだわっている。

画像: カーディガン ¥130000/ブランドニュース(マメ) キャミソール ¥18000/コルピエロ ピアス ¥704000、時計¥1800000/カルティエ カスタマー サービスセンター(カルティエ)

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「老けて見える必要もないけれど、若く見える必要もない。人って、その年なりじゃないと意味がないと思うんです。私、〝転がる石には苔が生えぬ〞って諺が好きなんです。〝流れる水は腐らず〞でもいいんですが、活発に活動していたら、余計なものはつかない。積極的に動いていれば、精一杯今を頑張っていれば、人は澱まない。余計なもののない、澱みや濁りのない生き方が、私としては理想ですね」

 余計な装飾のないシンプルな生き方と、澱みのないシンプルな心は、ムダのないシンプルな肉体に宿るのだと、彼女を見ていて思う。肉体が先に完成したのか、精神が先に成熟したのか、それはわからない。でも、すべてはあの、毎日必死で泳いでいた日々の中で培われたものであることは間違いない。人生が続いていく中で、これからも、彼女は歳相応の変化を楽しみ、それを受け入れていくのだろう。

 ときには戸惑ったり、迷ったりすることもあるけれど、女性という〝性〞を謳歌しているように見えるゆり子さんに、「生まれ変わっても女がいいですか?」と訊くと、あっさり、「次は男がいいなぁ」と答えられてしまった。

「女がイヤだってことじゃないですよ。ただ、男の人って楽しそうじゃないですか。年を取ってバカなことをやっていても、〝カッコいい〞とか言われるし(笑)。年を取ってからでもお父さんになれたりする。そこは、ズルいなって思います」

 いやいや、こんな可愛いのに47歳だなんて。あなたも十分ズルいです。
 

PROFILE

石田ゆり子
1969年生まれ。東京都出身。'88年、テレビドラマ『海の群星』(NHK)でデビュー。以後、ドラマ・映画・舞台・執筆活動など多岐にわたり活躍する。映画『北の零年』(05年)で第29回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。近年の主な出演作は、映画「悼む人」(15年)、『僕だけがいない街』(16年)、ドラマ『MOZU』(14年/TBS)、『コントレール~罪と恋~』(16年 / NHK)。映画『もののけ姫』(97年)、『コクリコ坂から』(11年)などスタジオジブリ作品では声優も務める。2016年には、ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS)に出演した。

●情報は、FRaU2016年12月号発売時点のものです。
Photos:Takashi Honma Styling:Miho Okabe Hair&Make-up:Mizue Okano Interview:Yoko Kikuchi

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