16歳で園子温監督『紀子の食卓』で映画デビューし強烈な印象を残してから12年。奔放で自由気ままながら、感情豊かで繊細。不思議な吸引力を持つ女優・吉高由里子さんはこの夏28歳になった。

全アラサー女子の心臓をメタメタにした東村アキコ原作のドラマ『東京タラレバ娘』(2017年1月より日本テレビ系列にて放送)で働く独身女子・倫子を演じる彼女に、30歳を前に意識すること、そしてこれからの選択について聞いた。

画像: コート¥380000、ブローチ¥44000/グッチ ジャパン(グッチ)

コート¥380000、ブローチ¥44000/グッチ ジャパン(グッチ)

 
― 吉高さんは28歳の女性として、10代、20代前半の頃よりも、変化したなぁという意識はあるんでしょうか?

「『あの時はさ』と振り返ることは増えましたね。それこそ20歳になったばかりの頃は毎日が吸収することばかりで、人との出会いも増える年代だったし、色々な経験をさせてもらいました。その頃からの同じ友達と今も一緒に遊んでいるんですけど、ごはんに行くと20代前半の頃の話にはなりますね。意識してないんですけど、『タラレバじゃん』と周りから言われて、『これがそうか!』と」
  

― 東村アキコさんのマンガ『東京タラレバ娘』を読んで共感するところはありました?

「まだグサグサと刺さる感じではなくて、今は笑えるけれど、明日は我が身だなと思いました」

 
― 吉高さんも、よく女子会をされてるんですよね?

「女子会というかそれこそ井戸端会議です。華も洒落っ気も全然ないし、ただ食べたいものを食べて、飲む。話す内容もエステや美容の話題ではなく、美味しいものや現場の話がほとんど。それこそ恋愛のバッターボックスにも立っていないです(笑)」

 
― 女子会でなく、ごはん会。

「友達と夜ごはんを約束することは増えましたね。私、あまりカフェでお茶とかしないんです。お茶はペットボトルでいい人で。お昼にカフェに行って何を喋ればいいの? ってなっちゃう。あんまりそういう習慣がないから、夜ごはんとお酒とくだらない話はセット。『カフェで話を聞いて』とは一回も言ったことがないですね。あともともと自分が人に悩みを相談するタイプではないこともあって、『話を聞いてほしい』と言われるまでは自分からは声かけないです」

 
― ひとりで解決するタイプ?

「どうしたらいいかを人に相談したことはあまりないです。それで解決する場合もあるだろうけど、迷っているときの自分が自分の中以外のところにも生まれてしまうのがすごく嫌で。一度話してしまったら、迷っていた自分が聞いた人の中で生きちゃうじゃないですか。それを回収できないことに学生の頃に気づいて、それっきり言わなくなりました。悩んでいる私を知っている人を巻き込んで先に進むことに責任を持てないというか」

 
― 他人に言った言葉がどう影響するか、は確かに考えますね。

「自分が正しいと思うことを伝えるときは、その人をちょっと傷つけてしまうかもしれないという覚悟を持って話します。じゃないと薄い内容のディベートになるというか、そういう年齢なんだということを自覚しないとな、とは去年くらいから意識しています。やっぱり、それも30代に向けての準備なのかな。インタビューで話す内容も、出る雑誌も、作品の役も、私自身も変わってくると思うから」
 

仕事、結婚、
今が最後の選択なの!?

― 30歳を前にして、焦る気持ちはありますか?

「28歳はもちろん新入生ではないから、次のステップとしてキャリアを伸ばすのか、それとも女性として家庭に入ることを考えるのか、という選択を目の前に出されているのが、今なのかも……。まず、結婚ラッシュがあるじゃないですか。23歳くらいで一回きて、去年、今年もありましたし、次はきっと33歳くらいであるのかなとか」

 
― ご自分も作品で結婚したり出産したりする機会も増えて。

「そうですね。『東京タラレバ娘』を読んでいると、『いつでも選べると思ってる?』と言われている気がして。そう考えると、選択肢がある最後の年齢なの? と思ったりはします」

 
― 比べるものではないと思うけれど、仕事と結婚の道、どちらが幸せかを考えたりします?

「きっと充実感の種類が全く違いますよね。満たされるという意味では一緒でも、ベクトルの向きが違う。とはいえ、こうやって主演をやらせていただける状態も何十年も続くとは思っていないですし、ため息くらいの長さで過ぎ去ってしまうんだろうなと。地球にとっては人間の生きてる長さなんて吐息くらいのものじゃないですか。でも、その中でこの時間、今みたいな環境を味わえていることは恵まれていて、嬉しいなとは思います。ただ、女の人として生まれたから、自分が産み落とす命、というものも気になります」
 

2年弱の休暇を経て、
帰ってきた居場所

画像: トップス¥450000、スカート¥405000、レギンス¥11000、イヤリング¥187000、リング(右手人さし指)¥71000、リング(左手中指)¥44000、シューズ¥230000/グッチ ジャパン(グッチ)

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― 大人気だったNHKの朝のドラマ『花子とアン』を終えて、26歳で約2年間休業されましたが、勇気のある決断でしたよね。

「実は、『花子とアン』が終わったら仕事を辞めようと思っていたんです。それを事務所に伝えたら、『ちょっと待って! 辞めてどうするの?』と言われて。それはわからないながらも、映像に映る自分がもう気持ち悪くなっちゃって」

 
― きっと、自己評価のハードルがものすごく高いんですね。

「勝手に、向いてないと決めつけてしまっていて。でも、現場でストレスを感じたことはなかったんです。『花子とアン』も、最初は私なんかがやるべきじゃないと思っていたんですけど、始まってみたら楽しくて、やって良かったと思える作品だった。一緒にいる時間が長いから本当にみんな家族のようになって。

『1年間休んで考えなさい』と言ってもらったので、私は頭も良くないし、一般社会ではアルバイト経験しかないし、自己紹介をする前に相手が自分のことを知っているという奇妙な状態も受け入れていかなきゃいけないし、これからどうやって生きていくかを考えようと思ってお休みさせてもらったんです」
 

― その間、海外のいろんな場所へ行かれていたんですか?

「まずラスベガスから始まって、LA、オーランド、NY、韓国、シンガポール、南国、スペイン、ほとんど旅行していました。一生懸命フィリピンで勉強してたのは3カ月だけ。

学校の寮に住んでいたんですが、向こうで病気をして入院することになってしまって、帰ることになったら何もやる気がしなくなっちゃった(笑)。継続していたものがポキッと折れるのって簡単なんだな……と」

画像: Tシャツ¥60000、スカート¥225000、イヤリング¥187000/グッチ ジャパン(グッチ)

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― 休暇を経て、また仕事するぞ! という気持ちになりました?

「気持ちいい風景をいっぱい見てリフレッシュしていたら、自分が不安にならないことが不安になってきたんです。周囲の人から『仕事をしていなくて不安にならないの?』と聞かれて『ならないです、楽しいんですよ』って答えて。また何ヵ月かすると、『そろそろ不安にならないの?』と聞かれる。

そのうちに、焦らないし不安にならないことに、ヤバい! 私、なまけ者体質かもしれない、駄目だ駄目だ! と思い始めて。旅行もタダではないじゃないですか。そうだよな、働かなきゃいけないよな、普通の人の10年分は遊んだぞ、と。それで、去年『ただいま帰りました! 働きたいと思います!』と戻ってきました」

 
― 復帰作となったのが、初舞台となった『大逆走』でしたよね。

「帰ってきてから映画の撮影がすぐ入る予定だったんですけど、延期になってしまって。だから、結果、2年くらい休ませてもらった(笑)。戻るきっかけを失ってたところに、初体験の舞台の話をいただいたんです。

舞台は、緊張する日もリラックスしてできる日もあって、生の臨場感ってこういうものなんだなと。それに、どういう人が自分のことを好いてくれているのか、来てくれたお客さんの顔が見えるのも面白いですね」
 

目指すのは、
気がつく大人の女性

― 今から1月放送のドラマ『東京タラレバ娘』の話題で持ちきりですが、主演の意気込みは?

「盛り上がれば盛り上がるほどプレッシャーも大きくなるので、止めて止めて〜! と怖くなりますが、現場に入ったら開き直って猪突猛進するのみです。髪も倫子さんスタイルに切ったし、もう腹くくってます! クリスマスやお正月を祝ってられないくらい働いて、もう少ししたらタラレバ娘になるぞと(笑)。

でも、休んでいるときに一番思ったのが、旅先で風景や環境からの刺激はたくさん得られたけれど、人からの刺激をもらえるのは圧倒的に仕事の現場だなということ。バリバリ仕事をしている人たちだからこそ、現場で会うことができる。ものすごくエネルギーとパワーを持っていて、刺激を与えてくれる存在なんだということに気づきました」

 
― そんな吉高さんが憧れる大人の女性ってどんな人でしょう?

「気がつく人かな。エチケットとして、ハンカチがスッと出てくる人になりたいですね。自分のがさつな部分を『それだからじゃない?』と指摘される年齢になってくるじゃないですか。だから、その要素を減らしていかなきゃなと。大げさではなく、ちょっとしたところから変えていきたいです」

 
― 最後に、最近何をしている瞬間に一番幸せを感じますか?

「ネットスーパーをよく利用するんですけど、いっぱい買ってしまうと腐らせないようにその週は自炊しなくちゃいけなくなる。それで、バランスを一切考えずに自分の好きなごはんをつくる。ごはんというかおつまみかな。それを食べながらハイボールを飲んで、『ウィー!』とは言わないけど、『ウォーキング・デッド』を観て、『うぇー!』とは言ってます(笑)。

お酒とおつまみでドラマを観ること。あとは、アラームをかけないで寝ることができる幸せ!」
 

PROFILE

吉高由里子 Yuriko Yoshitaka
1988年7月22日生まれ。2006年のデビュー以来、数多くのドラマや映画への出演を重ねる。2014年にはNHK連続テレビ小説『花子とアン』でヒロインを演じ、同年のNHK紅白歌合戦で紅組の司会を務める。2017年1月から日本テレビ系でスタートする新ドラマ『東京タラレバ娘』では、〝独身、彼氏ナシ、仕事もイマイチ〞の主役・鎌田倫子役を演じる。

●情報は、FRaU 2017年1月号発売時点のものです。 
Photo:SOPHIE ISOGAI(KiKi inc.) Styling:Kumi Saito(SIGNO) Make-up:Mariko Tagayashi(SIGNO) Hair:Koichi Nishimura Text:Tomoko Ogawa Cooperation:Gakushikaikan

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