24歳、社会人2年目、自他共に認めるごはん狂。平野紗季子。毎日朝から深夜まで仕事に没頭しては、美味しいものに救われる日々(でも、仕事は好き)。それって私のこと?と思った、すべての女子へ。明日からまた頑張るために、東京を生きる女子のための食堂へ、ご案内します。
 

画像: 平野紗季子 連載「ロイヤルホストの冷たいお茶。」

みんなの期待に応えようとしすぎて自分がなくなっちゃったリア充大学生みたい……。こないだあるファミレスでメニューを見ていてそんなことを思った。華やかで誰からも好かれそうで、だけどなんだか薄っぺらい。マーケティングにターゲティングを重ねて編み出された珠玉のメニューなのかな。

確かに魅力的だけど自分がそこにないって感じがする。運ばれてくる料理たちは美味しいけれど味気はなくて、そんな体験自体がちょっと疲れるなあと思う。

その点ロイヤルホストは特別だ。まずメニューが偏ってる。流行り廃りも飛び越えた独自料理が幅をきかせている。たとえばロイヤルで冷たいお茶を頼もうとすると困る。メニュー上にウーロン的無難茶が存在しないからだ。

あるのはハワイの空港みたいな香りの浮かれポンチなトロピカルアイスティーのみで、オレンジの輪切りが浮いている。いや今そういう気分じゃないんだけど。と思いつつ、この主張激しい個性派を真顔で押し出すロイヤルの態度が私はとても好きだ。天然というか独善的というか。大企業には珍しい計算や調査では導き出せないアクみたいなもの。

そんなことを神谷町店の店員さんに話したら「実はトロピカルアイスティーは創業者がアメリカで初めてフレーバーティーを飲んで感動したことがきっかけで誕生したんです」と教えてくれた。もうそういうところだよ、ロイヤルさん。なにかをオススメする理由がちゃんと自分の中にあること。血の通った商品にこそ翻弄される価値はあること。

変わりもののアイスティーも、なぜか栗が飛び出すコスモドリアも、子供には辛すぎるジャワカレーも、どれも真似のできない伝統メニューばかり。チェーン店のくせして擦れたところが見当たらない、ロイヤルホストはこの都市のひとつの奇跡だと思う。
 

ロイヤルホスト 神谷町店
東京都港区虎ノ門5-13-1 虎ノ門40MTビル 1F
☎03-5707-8812(お客様相談室)
営業時間:7:00~23:00
定休日:無

 
※フラウ 2016年3月号から引用

 
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PROFILE

平野紗季子 Sakiko Hirano
フードエッセイスト。1991年生まれ。小学生から食日記をつけ続ける生粋のごはん狂。


文・平野紗季子 撮影・新津保建秀 取材・林理永

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