24歳、社会人2年目、自他共に認めるごはん狂。平野紗季子。毎日朝から深夜まで仕事に没頭しては、美味しいものに救われる日々(でも、仕事は好き)。それって私のこと?と思った、すべての女子へ。明日からまた頑張るために、東京を生きる女子のための食堂へ、ご案内します。
 

画像: 平野紗季子 連載「山荘中華の白昼夢。」

今日はお休みの日。だからといって夕方4時までベッドに張り付いていたりするとなんでまたこんなに眠ってしまったのかと罪悪感に苛まれたりして辛い。だから遅く起きても美味しいものを食べに出かけられる少し遠くのレストラン(通し営業だと安心)、なんてものをいくつか知っておくと心身共にいい感じ。

いい景色が見たい。いいものが食べたい。そういう欲求は満たせるときに満たしておくべきで、さもなくば茨木のり子に怒られてしまう。ぱさぱさに乾いていく心をひとのせいにはするな、とにかくチャイニーズティンバーの五目そばを食べに行こう。

尾山台の高台にぽつんと立つその中華料理店は、まず大きな駐車場が用意されているところからしてスケール感が違う。店の奥にも広大な庭があって空間の持て余し方が贅沢すぎる。その余白を埋めるように建つロッジ風情の一軒家は木と煉瓦で組み上げられた山荘的建築で、まるで軽井沢にでもやってきたような澄んだ逃避行の匂いがする。

壁に掛かった狼の絵画をじっと見ていると注文の多い料理店のことを思い出すし、薄い桃色のテーブルクロスにエメラルド色の椅子を合わせたりするのは洒脱としかいいようがなく、「TIMBER」と記された箸袋やペーパーナプキンはデザインに優れるあまり思わず持ち帰り、隣の円卓で白髪の美しい老夫婦がのんびりとお茶を飲んでいる姿には敵わない品の良さがあった。

一体これはどこまでが現実でどこまでがフィクションなのだろうか。あまりにもこの世界が美しく完璧であるために、体験としてのリアリティが疑われるほど。あれは一体なんだったのか。山荘中華で過ごす休日はまるで白昼夢のよう。
 

チャイニーズティンバー
東京都世田谷区等々力7-4-9
☎03-3704-5551
営業時間:11:30~21:30(LO21:00)
定休日:水

 
※フラウ 2016年3月号から引用

 
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PROFILE

平野紗季子 Sakiko Hirano
フードエッセイスト。1991年生まれ。小学生から食日記をつけ続ける生粋のごはん狂。

文・平野紗季子 撮影・新津保建秀 取材・林理永

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