独特の存在感で、作品の中に際立った印象を残す。気になる若手俳優として、今、その名を挙げる映画好きは多いはずだ。10代で生まれ育った土地を出て、移り住むことを決めた彼だからこそ見ることのできる東京。現在26歳。愛する映画のために選んだ場所で、今彼はどのように生き、そして何を考えているのだろう……。池松壮亮の目を通したこの街を見てみたい。

10代で上京するのは、
ものすごい覚悟がいった

画像: ジャケット¥1687000(予定価格)、ポロシャツ¥70000、パンツ¥138000、シューズ¥138000/ルイ・ヴィトン クライアントサービス(ルイ・ヴィトン)

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「ちょうどこの辺りで撮影してたんです。映ってますよ、シーンの中で」

写真撮影を終え、インタビューの席に着いて、開口一番の言葉だった。東京に生きる若者の日々を描いた『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』は、最新の主演作。自身にとっても生活の場である東京を主なロケーションとした作品の中に生きることで、日常とは違った風景が見えてくる感覚はあったのだろうか?

「東京は作り込まれた街だけど、作品として、さらに作り込んでいくことで、より実体のあるものとして捉えることができたかもしれない。僕の知る限りでは平成に入ってからはもうリアルな東京を描いた映画ってなかったと思うので、それはすごく嬉しかったですね」

 
福岡に生まれ育ち、13歳で映画デビューした。以来、福岡で学生生活を送りながら、年に1〜2本のペースで映画に出演。多感な時期に、東京との出会いは既に果たしている。

「当時の自分にとって東京は、文化的にも地続きではない場所。海の向こう、海外でしたよ。敵地というか、挑んでいく先でした」

 
しかし、この時期出会った大人たちからは大きな影響を受けている。

「その頃、映画やってる人たちって、今と全然違って、ほんと不良のおじいちゃんばっかりだったんですよ。今より勝手な人が多かった気がします。僕は大人が大嫌いだったけど、返す言葉も持っていないから黙って話を聞くことしかできなくて。俺が見たことのない景色を見ていてムカついてました。そういう人たちに、ある意味、導かれてしまったっていうのが僕の欠点ですね(笑)」

 
その後、大学進学とともに上京。住む場所を東京に定めたのは、やはり大きな転機だったろう。

「男たる者、そろそろ出ていかないと、と思って」

そう言って、照れくさそうに笑う。

「長男ですし、上京するって、ものすごく覚悟がいることでした。育ててもらった場所、家族、友だちを一回捨ててきた気分だったんですよ。実際には、東京での生活は、ほめられたようなものではなくて。大学にもなじめず、全然行ってない。でも生きてるか死んでるかわからないような不毛な時期も含め、今思えば楽しかったんですけどね。驚いたのは、“東京では、こんなに映画が公開されているのか!?” ってこと。衝撃的でしたね。“俺は何も知らなかった” と思って手当たり次第に見始めました」

 
東京を選んだということは、イコール俳優として生きる決断をすることでもあった。

「福岡で映画ができるかっていったらできないですから。単純にそれだけの話だと思うんですよ。でも上京して逃げ場がなくなった……。もう言い訳できないなと思っていました」
 

◆後編はコチラ!

 

PROFILE

池松壮亮 Sosuke Ikematsu
1990年生まれ、福岡県出身。2003年『ラスト サムライ』で映画初出演。2014年『紙の月』、『愛の渦』、『海を感じる時』、『ぼくたちの家族』でキネマ旬報ベスト・テン助演男優賞ほか多くの映画賞を受賞。近作に『海よりもまだ深く』、『無伴奏』、『セトウツミ』、『DEATH NOTE Light upthe NEW world』、『だれかの木琴』、『永い言い訳』、『続・深夜食堂』、『裏切りの街』など。
 

INFORMATION

映画『夜空はいつでも最高密度の青色だ』
最果タヒの同名詩集を気鋭の映画監督・石井裕也が映画化。東京の片隅に生きる若い男女の生活と心の動きを繊細に描き、リアルな恋愛映画として完成させた。看護師をしながら夜はガールズバーで働くヒロインに新人・石橋静河。そんな彼女と出会う、工事現場で働く青年を池松壮亮が演じる。死の予感ばかりの東京で、居場所を見失ったふたりが初めて見つける希望とは……。2017年5月13日(土)より全国ロードショー

画像: © 2017「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」製作委員会

© 2017「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」製作委員会


●情報は、FRaU2017年6月号発売時点のものです。
Photo : Motohiko Hasui(W)Hair&Make-up : Hiromi Chinone Styling : Babymix Text : Junko Wada

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