朝ふと携帯をみると、同じ番組を担当しているアナウンサーと共有しているSNSに20件以上のメッセージが! どうやら後輩の一人が誕生日を迎えたようで、その夜の楽しそうな写真やメッセージが後輩達から次々と送られてきていました。
 

Vol.3「当たり前のこと」

「そう言えば誕生日だって言ってたっけ……」もはや子持ちである私や先輩アナはその会に誘われてもいないわけですが(笑)、そんな夜もあったなあ、と独身時代を懐かしく思い出しました。加えて、そんな夜を心穏やかに懐かしむだけになった自分にも少し驚きました。なぜなら、もしこれらの写真を長男を出産したばかりの頃に見ていたら、当時の私は「私も行きたい! 私も夜外出したい!」と、強く主人に訴えていたことでしょう。そしてそれをきっかけに子育ての愚痴があふれ出し喧嘩勃発! あの頃は、よく主人とぶつかっていました……。

 自由気ままな独身生活を経ての出産は、濃霧の中を、ややもすると壊れてしまいそうなくらい儚い息子を一人で抱きかかえ、でも立ち止まることは決して許されない道なき道を進む、そんな感覚でした。子供を産んだからすぐ “母” になれるわけではなく、私自身は独身時代の延長線上にいるにすぎないのに、その日から今までのやり方は何一つ通用しなくなり自分の時間は皆無になりました。まさに人生が一変したのです。なのに、同じ親である主人はそれほど毎日が変化するわけでもなく、相変わらず毎晩好きなだけ好きな時間まで飲んで帰宅する。なぜ私だけが!? と、息子を得た喜びとは別に、母になった自分の立場に戸惑い納得できない “何か” がありました。望んで母になったのに……。

そんな日々をいくつも越えて、さらに次男も生まれ、今年の春、私は母歴6年目を迎えました。今では夜外出できないことは “当たり前” になり、仕事以外の空いている時間は家族のために使う、それが私の日常になりました。そこには疑問も不満も感じない。理屈とか、何か頭で納得したわけではなく、“母” であることにやっと私が慣れてきた、ということ。“やっと” それが私の体に染みついたんですね(笑)。

 
 ただ、そんな毎日のなかで “当たり前” にしちゃいけないと、心に留めていることがあります。それは、時にイラッとするくらい恐ろしく手のかかるこの子育ても、隣でたばこを燻らせながら私の文句に逐一言い返してくる主人のいるこの景色も、決して永遠に続くわけではない、“当たり前” ではないということ。息子たちはあっという間に手を離れ、私を求めなくなるでしょう。12歳も年上の主人とは、きっと他の夫婦より一緒にいられる時間は短いはずです。

 今の全ては “当たり前” ではなく “特別” だということを忘れちゃいけない。主人と結婚しようと決めた日、息子を初めて抱いたあの日、そう心に刻み込んだはずなのに……。気づけばそんなことはすっかり忘れて、また今日も主人に愚痴ってしまうんですよね(笑)。

 
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PROFILE

中村仁美 Hitomi Nakamura
1979年6月8日生まれ。2002年にお茶の水女子大学生活科学部を卒業し、フジテレビ入社。2011年人気お笑いコンビ「さまぁ〜ず」の大竹一樹さんと結婚。現在は2児を育てながら、『ノンストップ!』やナレーションなどを担当しながら忙しい日々を送っている。

 
●情報は、FRaU2017年6月号発売時点のものです。

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