いい女になりたい。でも、なにをもっていい女とするかはけっこう難しい。見た目も大事なのだろうが、歳を取るにつれて「中身も大事だろ」と思うようになってきた。しかしわたしの中身ときたら、長年ほったらかしにされ、曇ったり、ヒビが入ったり……早急にメンテナンスが必要な状況である。

 というわけで、この連載では、マンガ・映画・小説などに登場するいい女について考察していく、憧れすぎて自分の中に「飼いたい」と思ってしまうようないい女たちから、大いに学ぼうじゃないか。
 

今月のいい女:
男ふたりを従える女

 ブルゾンちえみwithBのネタをはじめて見たとき、笑いながらも、胸の奥でなにか別の感情が蠢くのを感じた。なんだろう、このモヤモヤする感じ。面白いんだけど、なんか引っかかる。ひょっとしてこれは、憧れ……!? すっかり忘れていたが、わたしは昔から “女が男ふたりを引き連れている” という構図にめっぽう弱いのだった。 

 DREAMS COME TRUEをはじめて見た時の衝撃は、いまでも忘れられない。非凡な才能を持った女の子が、同じく才能の塊みたいな男ふたりを従えている。しかも彼らは、その女の子を全力で甘やかすのである。デビュー直後の吉田美和が、テレビで「北海道から出てきたばかりで電車の切符の買い方がわからないから、メンバーに買ってもらっている」という話をしていたが、それを聞いたわたしは、羨ましさのあまり床の上をゴロゴロ転がった。可愛くて、才能もあって、男ふたりに甘やかされて……最高か!

 ドリカムのほかにも、My Little Lover、the brilliant green、globe、Every Little Thing、クラムボン、Do As Infinity などなど、女ひとりに男ふたりの音楽ユニットがけっこう活躍していて、どれを見てもわたしの嫉妬心は疼うずいた。「実はふたりともこの人のことが好きになっちゃってるんだけど、仕事に支障を来きたすので我慢しているのではないか」なんて妄想をしようものなら、思春期の脳は完全に沸騰した。

 思春期を過ぎるとさすがにそんな妄想はしなくなったが、しかし逆に、ビジネスとして女ひとり男ふたりの関係が成立していることがすごいと思うようになった。ちなみに、アメリカの超有名フォークグループ、Peter, Paul & Maryは、60代に突入しても3人で活動していた、紅一点ユニットの最高峰。おばあちゃんマリーに寄り添うおじいちゃんピーターとポールの様子は、是非ともググっていただきたい。いい女の最終地点はここだと思うはずだから。

 でも、現実の世界で女が男ふたりを従えるのは、かなり難しい。まず、自分がチャーミングかつ才能にあふれた女になるのが難しい上に、後ろをついて来てくれる男を確保するのもこれまた難しい。だからこそ、それを実現した女たちは、間違いなくいい女である。

 ブルゾンちえみは、「効率的な仕事ぶり、充実した私生活」を送るキャリアウーマンとして、いい女になるためのアドバイスをする。が、もし彼女がひとりで登場したら、説得力は半減するだろう。かといって、大勢の男と一緒でもダメだ。少女マンガでもよく見かけるように、ふたりの男がヒロインをとりかこむ、この関係性の緊密さがいいのである(男のルックスとか性格が正反対だとなお良いですよね)。そんなことを考えながら、わたしは今日もブルゾンちえみの動画を羨望のまなざしで眺めるのだった。

 
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PROFILE

トミヤマユキコさん
1979年生まれ。早稲田大学文学学術院助教。少女漫画を中心としたカルチャー関連の講義、研究を行う。また、ライターとしても様々な媒体でコラムや評論を執筆中。「大学の春学期がスタートしたのですが、貫禄がないせいか、アシスタントの大学院生に間違われまくっています」

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