「みうらじゅんさんといとうせいこうさんに憧れてペンネームを平仮名にしたほどです。そんなお二人の20年をかけた『レジェンド仲良し』っぷりを映画にしました。」(編集者など おぐらりゅうじさん)
 

対談したのは……

画像1: 対談したのは……

みうらじゅんさん
1958年、京都府生まれ。イラストレーターなど。武蔵野美術大学在学中に『月刊漫画ガロ』で漫画家デビュー。「ゆるキャラ」「マイブーム」といった流行語を生む。近著に『「ない仕事」の作り方』などがある。
 

画像2: 対談したのは……

おぐらりゅうじさん
1980年、埼玉県生まれ。フリー編集者・ライター・構成作家など。雑誌「テレビブロス」編集部員。映画『ザ・スライドショーがやって来る!』では、構成と監督を務めた。
 

「ザ・スライドショー」とは……
みうらじゅんが撮りためた写真やバカネタを、スライドによってスクリーンに大きく映し、それを見たいとうせいこうが即興でツッコミを入れるトークショー。1996年に第1回が開催され、これまでに13公演、20周年を迎えた。

  

BLの要素を入れると
当たるっていうじゃないですか。

そこだ!と数年前から思っていて
BLならぬオヤジラブで、OL。

画像: そこだ!と数年前から思っていて BLならぬオヤジラブで、OL。

おぐら 映画化にあたって、タイトルは悩みました。そうしたら、みうらさんからメールが届いて。「レジェンド仲良しの秘密」にしたいと。「テーマは仲良しか!」と光が見えました。でも、すぐに「レジェンド仲良しって……なんだ?」って。

みうら ハリー・ポッターシリーズの「アズカバンの秘密」が浮かんできたんだけど、よく調べてみたら、「アズカバンの囚人」でしたね(笑)。ま、そんときインフルエンザでウンウン言ってたから。

おぐら タイトルが決まる前は、スライドショーのベスト盤的な方向で進めていたんです。でも、このタイトルにするからには、お二人の仲良しっぷりを見せつけないといけないと思って、後半にかけてだいぶ構成を変えました。その視点で過去の公演を見ると、仲良し映像が満載なんですよね。

みうら やっぱり基本、映画って仲良しものがいいんじゃないかと。それに、BLの要素を入れると当たるというじゃないですか。BLならぬオヤジラブだから、OLだけどさ(笑)。

おぐら 出ました! みうらさんの造語&新しい概念! いや、でも最近のBLブームとは関係なく、もう'90年代の前半からイチャイチャしてますし、いとうさんと二人で一緒にお風呂も入ってますよね(笑)。

みうら そりゃ入ってますよ(笑)。でも、時系列で構成してもらったから、仲良しになっていく過程がよくわかって良かったんじゃないかと。

おぐら スライドショーの公演って、スライドで映されたネタとツッコミがもちろん本筋ですが、合間のトークはカップルの会話ですよ。

みうら 僕の無理矢理な親友告白から始まってるんだけど、それに似合うように、だんだんなっていったんだよね。昔は全然タイプが違う人だと思っていたんだけれど、派閥とか傾向とか関係なく、センスがそもそも似てたというか。たぶん最初にそれを意識したのはファミコンのイベントのゲストで出たときだったんだよね。

おぐら はい、聞いたことあります。

みうら ミスターXって呼ばれてる覆面レスラーみたいなファミコン名人がいてね、横並びで俺といとうさんが彼を挟んでたんですよ。ミスターXに二人でバンバンツッ込みだしたら、本人が困っちゃって、会場が大爆笑になって終わったイベントがあったんですよ。後の「見仏記」も、結局真ん中に仏像を挟んで喋ってるってスタイルは変わらずでね。

おぐら スライ(=スライド機)が真ん中にいるという、スライドショーの原型ですね。

みうら 多分、対象物を間に挟んで、同じセンスでぶつけ合って高めていくのがおもしろいんだよね。いとうさんは、考えて考えてツッ込んでるんだよね。こちらも考えて考えてボケてる。そのセンスが似てたんですよ。でも、二人のショーは台本がないから緊張するし、無駄な努力でいろいろと回ってましたから、ピリピリしてたときもありました。

おぐら その努力の熱量が異常なんですよ。それまでみうらさんがバカなネタを見せたとき、いとうさん以外のはどういう反応だったんですか? 

みうら それが仕事につながってなければないほど、「はい、それはさておき、仕事の話をしましょう」という反応でしたね(笑)。一人っ子だったので、小さい頃に友達が遊びに来ると帰さないぞが今でもあるんだよね。

おぐら 帰ってほしくない(笑)。

みうら 押し入れからいろいろ出して見せて帰れなくする(笑)。なんなら泊まってほしいから。それを全部理解してうまく対処してくれた人がいとうさんだった。構造まで考えてショーにまで持っていってくれたんだから。

おぐら いとうさんのキレ者っぷりは、映画でも随所に出てきます。

みうら すごく説得力があるでしょう? 一方で、俺は常に先のない話、無駄な話をしてるんです。でも、それを伝えたい人と、伝えようとしている人は違うんだよね。

おぐら 伝えたい人は夢中ですから。みうらさんは元々はツッコミですし。

みうら 自分のことを一度もボケだとは思ってなかったんだけど、いとうさんは「もう集めんなよ!」とか言んですよ(笑)。そんなこと普通言う? 漫才で「もう集めんなよ!」というツッコミはないじゃないですか。いとうさんの生み出したオリジナル・ツッコミなんです。

おぐら 今回の映画の中でも、みうらさんがインタビューで「おかしいものを集めていたら、自分がおかしくなっていた」と語っていたので、過去の「ザ・スライドショー」の映像から探したんです。そうしたら「あぁ……もう完全におかしくなってる」っていうのが出てくる出てくる。

みうら (笑)。ああいうものを真剣に集めてる人がいるじゃないですか。でも、その人の生活を考えると、きっとまわりに困られているだろうし、そこを含めておかしいんですよね。でも、人を非難することはあまりしたくないので、天狗マニアを取材しに行くんじゃなくて、自分がそうなって、おかしくなるところまでやるしかない。自分のことならば、笑われてもいいわけだから。

おぐら 「あれ、おかしくなってる?」って、ご自身で思うときもあるんですか?

みうら そこまでいけばサクセスでね。いとうさんが気持ちよくツッ込んでくれる。スライドショーは台本がないんでね、手ぬるいものだと悪いなと思っちゃうんですよ。無駄な量のネタは=ノイローゼじゃなくても、できるっちゃできるんです。精神的に病むところまでいくには、やっぱり4〜5年はかかりますからね。

おぐら 病む努力(笑)。いとうさんがウケて舞台上でコケると、みうらさん的にはやった!って思うんですか?

みうら 一度、どんなネタか忘れちゃったけどコケたんですよ。でも一度コケられるとさらにコケないとマズい!と思っちゃう。苦しいですよね。だから、俺は本当はあまりコケないでほしい(笑)。

おぐら あれは『新婚さんいらっしゃい!』の桂文枝師匠と同じで、コケると見栄えがいいって、いとうさんがおっしゃっていました。爆笑しながらそこまで考えてるなんて。ほんと、おそろしい人です。

みうら でも、二人が楽しければってところに行けばいいんです。ステージの上で加減を確かめながら友達になったわけだから(笑)。ま、友達なのに秘密が多すぎたこともあってさ、その点、最新の「ザ・スライドショー13」は、一番仲良し。同じ花を見て美しいと言う域までいってるんじゃないかな?(笑)。今まではいとうさんが違うところのネタをツッ込んで俺を困ったり、試行錯誤だったけど、見事に二人だけの結婚式になったから。

おぐら おじさん同士の仲良しって、これからブームになりますかね?

みうら JR京都みたいな広告に俺ら二人を使ってもらうと、親父たちが行きやすくなるんじゃないかと思ってんだよね。そこを訴えたい映画ではある(笑)。

おぐら この映画の裏テーマですね。

みうら だって、打ち上げも出ずにホテルのスイートルームでビデオを二人して見てたこともあったしね(笑)。ここはああしたほうが良かった、ここは最高だと言い合ってさ。でも、芸人じゃないんです。万人にウケなくていいと思い込んでる僕が、いとうさんだけに向けて喋ってるだけというスタイルのショーですから。
 

INFORMATION

画像: © 2017 WOWOW INC. ARK co., ltd.

© 2017 WOWOW INC. ARK co., ltd.

映画『ザ・スライドショーがやってくる!「 レジェンド仲良し」の秘密』
「ザ・スライドショー13」の舞台裏を中心に、過去の公演映像を交えながら、みうら氏が撮りためた膨大な量の写真に、いとう氏がツッコミを繰り返すイベント「ザ・スライドショー」の魅力をひもとくドキュメンタリー。

 
▼いとうせいこうさんとの対談は
 コチラをチェック!

 
●情報は、FRaU2017年3月号発売時点のものです。 
Photo:Ryohei Tsukada Text:Tomoko Ogawa

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