【VOL.2】
異国を感じる
ドバイのアラビアン・カルチャー

 200以上の国籍の人々が暮らす国際都市ドバイ。アラブ首長国連邦を成す7つの首長国のひとつでもあり、その基礎となっているのは、アラビア文化です。

日本にいるとなかなか接することのない文化ですから、旅するにあたり少し不安になる人もいるかもしれませんが、その素顔を知れば、断然行ってみたくなるはずです。

画像: 【VOL.2】 異国を感じる ドバイのアラビアン・カルチャー

 アラビア語を話すアラブ人を国民とするドバイは、イスラム教を国教とする国ながら、移民が多く暮らしていて、宗教的な制約が少ない首長国。非イスラム教徒であれば、服装、飲食といったライフスタイルにおいて、ほぼ欧米と同じように過ごすことが可能です。

でも、せっかく異国を旅しているならば、その国の文化に触れたいもの。そこでおすすめなのが、シェイク・モハメッド文化理解センター(SMCCU)でのカルチャーセッション。国民はわずか2割に過ぎませんから、旅行中に接する機会はなかなかありません。でも、SMCCUに行くと、国民であるエミラティの人々から直接、外国人向けにドバイの暮らしやアラブ文化についての話を聞くことができます。

画像: 優しい笑顔でデーツを配ってくれます。

優しい笑顔でデーツを配ってくれます。

VOL.1でもご紹介した、ドバイ一美しいとされるジュメイラ・モスクでも、SMCCUが金曜日以外の朝10時からガイド付きツアーを開催(1人20ディルハム / 予約不要)。モスク見学、イスラム教の基本概念の解説などを行っていて、コーランの無料配布もしています(英語版もありました)。

スタッフは「写真もどんどん撮影して、私たちを宣伝してくださいね」とにこやか。イスラム教というと、戒律が厳しくやや閉鎖的というイメージもありましたが、ドバイはとてもオープンな国という印象です。

 実は、今回ドバイを訪れたのはラマダン(聖なる月)中。ラマダンとは、新月から次の新月までのおよそ1か月を指し、イスラムの預言者がアラーの啓示を授かった時期とされ、イスラム教徒には最も重要で神聖な月。ヒジュラ暦(太陰暦)9番目の月にあたり、毎年変動します(2017年は5月27日~6月25日でした)。

 この期間中、街中には「Ramadan Kareem!(ラマダン、おめでとう)」の言葉が飛び交います。そして、イスラム5行のひとつであるサウム(断食)を、日の出から日没まで1か月にわたり毎日行うのです。断食は、誰もが神の前では平等であるという謙虚な心をあらためて認識するためのイスラム教徒の義務。ちなみに5行とは他に、信仰告白(シャハーダ)、礼拝(サラー)、喜捨(ザカート)、巡礼(ハッジ)があります。

画像: チョコレートショップにも「Ramadan Kareem!」の文字が。

チョコレートショップにも「Ramadan Kareem!」の文字が。

 もちろん、旅行者は断食をする必要はありませんが、期間中、街中のレストランの多くは日の出から日没まで店を閉めます(営業している店もありますが、外から見えないよう目隠しをしています)。地元の文化に敬意を表し、公共の場での飲食は控えることになります。

 この期間中、街は昼夜逆転ともいえる状況に。平均的な勤務時間は、通常の8時間から6時間へと短縮され、日中は静かだった街が日没後に活気づきます。それは、昼間飲食を控えていた人々が、ラマダン中の日没後にイフタールと呼ばれる断食明けのいつもより豪華な食事をとるから。飲食店は賑わい、人々は大切な友人や家族と神への感謝を共にしつつ絆を深めながら、長い夜を過ごすのです。

もちろん、旅行者もその文化を体験することが可能です。ホテルでは、この時期ならではの豪華なビュッフェを提供していますし、各レストランでは欧米風、南米風、日本風などありとあらゆるジャンルのイフタールを味わうことができます。また、海辺やホテルのプールサイド、庭などに設置された、まさにアラビアン・ナイトの世界さながらのラマダン・テント内で、コーヒーやお茶、シーシャと呼ばれる水タバコを楽しむのも、ドバイらしいラマダンの夜の楽しみ方です。

 伝統的なアラブ料理のイフタールを食すなら、ぜひSMCCUへ。アル・ファヒーディという歴史保存地区にある一角で体験できます。

 まず、アラビックコーヒーとおやつの定番デーツ(ナツメヤシ)をふるまわれます。これは断食明けにまず地元の人々が口にするもの。それをいただきながら、女性が着る黒い民族衣装アバヤや男性用の白い民族衣装カンドゥーラなどについて、また身だしなみについてなど、エミラティのライフスタイルについて地元の人々から直接話を伺うことができます。その合間に、地元の人々が食べているローカル料理によるイフタールがふるまわれるのです。

 デザートの前には、近くにあるイスラム教の礼拝堂モスクへと向かい、1日に5回行われる礼拝の時間や、祈りの作法についてのレクチャーも受けられます。女性にはスカーフの貸し出しもあり、髪や肌を覆い、裸足になって入場。ユニークだったのは、観光客の子供たちを前に並べて、なぜイスラム教では男女が隣り合って祈らないかについて説明していたこと。

「可愛い女の子や、素敵な男の子がとなりにいたら、お祈りに集中できないでしょう?」
との問いかけに、欧米人のティーンたちはくすくす笑い。
「だから、女性と男性が座る場所を分けているんですよ」とわかりやすく説明していました。
大人たちにも「どんな質問でもしてください」と呼びかけます。

「ラマダン中に、こっそり飲食するのは可能ですよね」とのちょっとイジワルな質問にも、「可能です。でも、サウムは、神の前では貧しい者も富める者も平等であり、欲望を抑え、謙虚さや忍耐強さを再認識するという精神的な行。信仰心を深めるために行うことで、人のために行うことではありません。神様が観ているという考えがあるので、すべては自分次第なのです」とにこやかに答えていました。

 SMCCUのモットーは「オープン・ドア、オープン・マインズ」。イスラム教を正しく理解してもらいたいとどんな質問も受け付ける姿勢は、まさにモットーそのものでした。

今回の訪問がちょうどラマダンだったこともあり、この移民大国にして国際都市の土台がアラブ文化、そしてイスラム文化であり、それが今もしっかりと継承されていることを肌で感じることができました。そして、2割ほどのエミラティと8割ほどの移民たちが互いの文化を尊重し合うことで、違う宗教違う価値観の人々が幸せに共存できるということも強く実感しました。

画像: ラマダン中にスイーツを購入したら、バッグにシールを貼って注意を促してくれました。

ラマダン中にスイーツを購入したら、バッグにシールを貼って注意を促してくれました。

 ドバイで数日を過ごすうちに、異文化、異教の人々も受け入れる精神性の根源とも言えそうな文化に行き当たりました。それは、アラビック・ホスピタリティ “アル・ディヤファト・アル・アラビア”。ドバイにもともと暮らしていた砂漠を遊牧する民ベドウィンの伝統です。過酷な環境で暮らす彼らは、助け合うことの大切さを知っていて、自分たちが暮らす場所に旅人が訪ねてくると、喜んでもてなしたそう。“アル・ディヤファト・アル・アラビア” の象徴が、ドライフルーツで栄養たっぷりのデーツと喉を潤すアラビックコーヒーなのです。

その精神は、ホテル、レストランなどさまざまところで感じることができます。“サービス” にはちょっとうるさい日本人でも満足できるほどのもてなし上手。必要なものをさっと差し出してくれる気の利いたサービス、ぜひ体験してみてください。

 
次回は、引き続き、スパイススーク(市場)や歴史地区など、ドバイで出会えるアラブ文化についてご紹介します。

【Information】
ドバイ政府観光・商務局
 
シェイク・モハメッド文化理解センター
https://www.visitdubai.com/ja/pois/smccu(日本語)
http://www.cultures.ae/(英語)
 
ジュメイラ・モスク

 
 
▼前回の記事はコチラ!

 
*1ディルハムは、約30円(2017年7月現在)
Photo&Text:JUNE MAKIGUCHI

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