華々しいデビューを果たした18歳のシンガーソングライター、HARUHI。映画、ドラマ、CMに引っ張りだこの彼女が持つ洋楽的な素養とは?

 

鳴り物入りのデビュー。
でも、その才能は本物なのだ

声が持つ説得力というものがある。
聴いた瞬間に「これは!」と思わせる歌声。
技術的な上手さだけでなく、その人の息吹を感じさせる声。耳を鷲摑みにする響きと、感情の奥底にあるものを形にする表現力を持った歌声。

18歳の女性シンガーソングライターHARUHIは、間違いなくその持ち主だ。そして彼女がリリースした1stアルバム『INSIDEOUT』は、そういう天賦の声を持った彼女が、ソングライターとしても飛び抜けたセンスの持ち主であることを証明する一枚。すごい才能が登場したと率直に思う。

実は最初、筆者は半信半疑だった。昨年5月に映画『世界から猫が消えたなら』主題歌「ひずみ」で華々しくデビューを果たした彼女。作詞作曲とプロデュースを手掛けたのは小林武史だ。まさに鳴り物入りのデビューである。

その後も映画、ドラマ、CM、アニメと大型タイアップが続く。川村元気、永井聡、森本千絵、佐藤健などそうそうたるクリエイターや俳優から絶賛のコメントが届く。

それを見て、彼女自身の才能よりも、むしろ周囲の大人たちのお膳立てのようなものを感じてしまっていた。声の表現力は間違いなく一級品。しかしその音楽性や世界観は、周りからお仕着せのように用意されたものではないか、と。

しかし、その後に届いたいくつかの曲を聴いてその先入観がひっくり返った。そしてアルバムを聴いて確信に至った。HARUHI自身が作詞作曲を手掛けた楽曲が素晴らしいクオリティを持っていたのである。

画像: HARUHI 1st Full Album 『INSIDE OUT』 Digest youtu.be

HARUHI 1st Full Album 『INSIDE OUT』 Digest

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そこにあるのはJ-POPというよりも、むしろ洋楽に通じる感性。古くはジョニ・ミッチェルやジュディ・シル、そして最近ではアデルやラナ・デル・レイにも通じるような、耽美と憂鬱が背中合わせになった女性シンガーソングライターたちに通じ合う音楽的な素養を感じる。

インタビューによると、彼女のルーツはビョーク。その後も同時代のポップソングではなくトニー・ベネットなど古い洋楽を聴きあさる思春期を過ごしてきたという。

アルバム収録曲のうちHARUHI自身が作詞作曲を手掛けたのは8曲。そのほとんどが英語詞で、サウンドはシンプルなバンド演奏。

ヴィンテージなソウルやジャズを彷彿とさせる2曲目の「Round and Around」や、90年代のグランジに通じる刺々しいロック・ナンバー「Trust Me, I Am Fine」、まるで耳元で歌っているかのようなアコギ弾き語りの「Friend」が特に印象的だ。

声だけじゃない。本物の才能だと感じる。

画像: 鳴り物入りのデビュー。 でも、その才能は本物なのだ

「INSIDE OUT」
18歳のシンガーソングライター、HARUHIの1stアルバム。少しハスキーで存在感のある歌声を堪能できる一枚だ。シングル曲はポップな仕上がりだが、大半を彼女自身が手掛けたアルバム収録曲にはどこかアンニュイな雰囲気が漂い、ダークな聴き応えがある。

  

著者プロフィール

柴那典さん
音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。著書に『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)ほか。共著の『渋谷音楽図鑑』(太田出版)が好評発売中。

●情報は、FRaU2017年 9月号発売時点のものです。

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