パフォーマーとしてだけでなく、“役者” としても、唯一無二の存在感を放つ二人が、『HiGH&LOW THE MOVIE』では対立の火花を散らした。見た目にはまったく似たところのない二人。でも、お互いを認め合っていて、共通点だって少なくない。そんな二人の密談に密着。(撮影/森 栄喜)

 

がんちゃんと芝居するの
初めてだったよね(AKIRA)

画像1: がんちゃんと芝居するの 初めてだったよね(AKIRA)

先にスタジオに到着していたのは、先輩であるAKIRAさんのほうだった。ヘアメイクと着替えを済ませ、スタッフと談笑しながら、後輩の到着を待つ。放たれるオーラは、とことん陽性で、いるだけでその場が明るくなる。

ほどなくして、岩田さんがにこやかにスタジオに入ってくると、AKIRAさんの表情がパッと輝いた。二人は、「お疲れ!」「お疲れ様です!」と言葉で挨拶を交わしながら、ハイタッチした右手を軽く握り合った。ただそれだけのことなのに、二人が一つの空間の中にいると、何だか映画のワンシーンを見ているような感じがする。

そのまま、普通に話しているナチュラルな雰囲気を、フォトグラファーの森さんが静かに切り取っていった。顔立ちも、体つきも、声も雰囲気も、何もかもが違う二人。なのに、「しゃがんでください」というオーダーを聞き入れた時のポーズが見事にシンクロしたりするのだから面白い。

この日のファッションは、AKIRA さんはルーズめで、岩田さんはタイト。話しているときに漏れる笑い声も、AKIRAさんが低く太いのに対し、岩田さんは少年のようにさわやかだ。「目線をください」と言われない限りは、延々二人で何やら楽しそうに話している。

そうして、〝仲がいい〞などという一言では片付けられない、もっと熱を帯びた信頼感のようなものが、知らず識らずのうちに伝わってくる。 

画像2: がんちゃんと芝居するの 初めてだったよね(AKIRA)

二人がそれぞれチームの総長役を演じたドラマ『HiGH&LOW』が、この夏ついに映画になる。 岩田さん演じる〝コブラ〞は、ドラマシリーズではずっと慕っていたAKIRAさん演じる伝説の総長〝琥珀〞と対立することに。

「女性からすると、アクションとかバイオレンスとか、男の子が好きな要素ばっかり詰まってる印象があって、なかなか入っていきにくい世界観かもしれませんけど、この作品のもう一つのテーマは、僕は、男たちの成長物語だと思うんです」と岩田さん。AKIRAさんは、「そういえば、がんちゃんと一緒に芝居するの、これが初めてだったんだよね」と言って、岩田さんの顔をまじまじと見つめた。

「はい、初めてですね」

確認しながら、二人で微笑み合い、AKIRAさんが続けた。

「でも、EXILEでダンスを一緒にやっていることも含めて、チームでの〝ものづくり〞に変わりはないから、芝居だからといって照れたりはしなかった。それより、最後の対決のシーンだよね! あのときは、本当にがんちゃんに助けられたし、刺激を受けたし、嬉しかった……。がんちゃんがずっと俺の芝居に付き合ってくれて、カメラが回ってないときでも、ちゃんと〝コブラ〞の気持ちになって毎回泣いてくれて……。おかげで、最初に自分がイメージしていたものよりも、ずっといい〝琥珀〞になったと思う。本当にありがとう」

 
見た目どおりの、アツい、ストレートな感謝の言葉に、岩田さんは少し照れながら、「いやいやそんな」と首を振った。

「僕のほうこそ、撮影の現場で、AKIRAさんが監督に『このときの感情は、自分はこうだと思ってるんですけど……』とか、ガンガン相談に行くのを見て、つられてモチベーションが上がっていった感じです。良いものを作ろうとして、全力でぶつかっていく姿勢に、なんか、学ぶことがいろいろありました」

 

ケンカアクションには、
〝拳で語り合う美学〞が

画像: ケンカアクションには、 〝拳で語り合う美学〞が

二人が揃って主張していたのが、『HiGH&LOW』のアクションにはちゃんと意味がある、ということ。血を流す意味、相手を倒す意味。ただ縄張り争いのためにしのぎを削っているわけではない。その理由は、大切なものを守るためだったり、誤った道に進もうとする仲間の目を覚まさせるためだったり。岩田さんはそれを、「拳で語り合う美学」と表現した。

「バイオレンスな部分よりも、登場人物それぞれが大事にしている戦うことへの信念のようなものを感じ取ってほしい。日常生活に、暴力的なものが少なくなっているこの時代に、敢えて全力で、チームが一丸となって、拳で語り合うことができるのは、映画だからこそなんです。でも、殴り合ったりしなくても、誰だって、それぞれの人生の中では自分たちのやり方で闘っているはずでしょ? その自分たちの尊厳を守る戦いを、映画でなら争ったりという表現方法を使って、エンタテインメントに昇華できる。女の人でも、たぶんこの映画を見たら、気分がスカッとすると思います(笑)」

 
いいこと言うなぁ、と感心したように岩田さんを見たAKIRAさんは、「がんちゃんは、本当にこの役を細かいところまで自分で作り上げてたんですよ」と隣にいる後輩をまじまじと見つめ、何かを思い出すように、すこしゆったりとした口調で語り始めた。

「プロデューサーのHIROさんが、最初から〝この作品では全員が主役だ!〞って話していて、衣装や髪型なんかも、それぞれに任せてたんです。だから僕も、スタッフさんと相談しながら、カラコンを入れたりして、アメコミに出てくるキャラクターぐらい、見た目もインパクトを出そうと思っていろいろ考えました。

がんちゃんの役は、金髪以外、そこまでのわかりやすさはないんだけど、でも、何かを決意したあとに、前髪を横分けにして額を出したりとか、ちょっとした変化でも、細かいタイミングを計算してた。なんか、ああいう繊細さの積み重ねが、作品にリアリティを与えてくれた感じがしますね。コブラとして、ひとつひとつのシーンを生き抜いていたのが、すごくカッコよかった」

 
まるで愛の告白のような褒め言葉の連打に、岩田さんは恐縮することしきり。

「でも、僕らだけじゃなく、登場人物一人一人が、みんな自分のキャラクターを愛しながら、作品に挑んでいた気がします。その辺は、ドラマシリーズから映画にまでなって、ひとつの役に長い期間向き合えたことも大きかったと思う」

 「でもさ、あれ、男なら絶対好きな世界観なんだよね。女の人は、〝男ってこういうの昔から好きよね。いくつになっても変わらないんだから、ホンット単純なのね〞なんて思うかもしれない」と言って、カッカッカッと笑った。

 

自分たちが守り抜いてきたものを、
次の代へと――

画像: 自分たちが守り抜いてきたものを、 次の代へと――

 ところで岩田さんには、ドラマシリーズで、どうしても忘れられないセリフがあるという。あるとき、台本を読んでいたら、「俺らが守り抜いてきたものを、次の代に託す」という一文があった。コブラのセリフだった。

「これは、絶対にHIROさんの信念そのものだと思った。役を通して、僕が、HIROさんの思いを世の中に発信していかなきゃならない。すごい、責任重大だって思って、このセリフを言うときは、プレッシャーがハンパなかったです」

 声のトーンだけではない。こうして対話をしていても、その語り口にも鮮やかな対比がある。でも、ツーショットを撮影しながら、ふとソロカットの流れになり、手持ち無沙汰になったタイミングでそれぞれダンスのステップを踏んでみたり、二人のときは響き合い、一人のときでも自分の中にある音を鳴らしているような仕草は、共通している。では、二人はお互いの共通点や差異を、どんなふうに認識しているのだろうか。

 

何より、人として
素晴らしいです!(岩田)

画像: 何より、人として 素晴らしいです!(岩田)

「見た目だけなら、俺とがんちゃんとでは、うーん……ワイルドとエレガントというか(笑)、暑苦しいのとさわやかというか、まぁ結構真逆な感じですけど、中身は似ているところもあるんですよ。だって、仕事に関してはお互い結構ガツガツしてるし、それにがんちゃんも俺もカバンの中のモノの整理の仕方とか大雑把じゃない? あんまり几帳面だったり、潔癖だったりはしないよね。野外で寝泊まりするときなんかでも、『除菌シートがなきゃ寝られません!』とか、そういうこと言わないでしょ?」

 AKIRAさん、豪快な感じで後輩の岩田さんに話しかける。
「ああ、そういうのは、まったくないですね」と相槌を打つ岩田さんもなんだか嬉しそう。

「がんちゃんって、根っこは自然児だし、男っぽくてやんちゃだと思う。で、その見た目とのギャップがまたいいんだよ。何たって、がんちゃんと俺の一番違うところは、10代で歩んできた道! ちゃんと勉強してきた人だから、とにかく頭の出来が違いすぎる(笑)! でも、みんな背負ってるものは違うけど、音楽や映画で心をひとつにできるのが、EXILEファミリーのいいところだよね」

 この言葉には岩田さんも大きく頷いた。

「でも、AKIRAさんも、たぶん自分で思ってる以上に外見と中身のギャップはありますよ。だって、見た目はワイルドだけど、気遣いがハンパないですもん。連絡の取り方、報告の仕方とか、すべてが的確で、いつも周りのことを考えて行動してらっしゃるんだなってことを、一緒にいると肌で感じます。だから、〝ああ、まだまだ自分にはこういうところが足りないな〞って気付かされる。本当に、人として素晴らしいです!」

 男二人。見た目や中身に違いがあるからこそ、そこで鳴る音は、美しいハーモニーを奏でていく。二人の差異は、対話のときはハーモニーでも、映画の中ではそれがぶつかり合うのだ。火花となって。

 

PROFILE

画像1: PROFILE

AKIRA
1981年8月23日生まれ。静岡県出身。「EXILE」パフォーマー。近年の映画出演作は『ワーキング・ホリデー』(12年)『草原の椅子』(13年)『アンフェアthe end』(15年)。ドラマ出演は『GTO』シリーズ『HEAT』など。
 

画像2: PROFILE

岩田剛典
1989年3月6日生まれ。愛知県出身。「EXILE」兼「三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE」パフォーマー。映画出演作に『クローズ EXPLODE』(14年)。『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』(16年)では主演。

 

INFORMATION

『HiGH&LOW THE MOVIE』
コブラ(岩田剛典)を総長とする山王連合会をはじめ5つのチームが拮抗するSWORD地区。その地区に伝説の男、チームMUGENの総長琥珀(AKIRA)が戻ってくる。 地区の支配を目論む李(V.I)と手を組んだ琥珀は、他地区のチームを引き連れてSWORDを急襲。各チームが立ち上がり、かつてない事態へと突入する。

 
●情報は、FRaU2016月8月号時点のものです。
Photo:Eiki Mori Styling:Atsushi Hashimoto(KiKi inc/AKIRA), JUMBO(IWATA) Hair&Make-up:KUBOKI(Three PEACE/AKIRA), Chie(H.M.C/IWATA) Interview:Yoko Kikuchi

 
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