衰え廃れると、人は醜くなるのだろうか。不道徳で不健全なことは悪だろうか。迷ったり苦しんだりすることは、愚かな行為なのだろうか――? 美輪さんは、そんなすべての疑問に明確に回答する。答えはすべて「NO」であると。

良いことと悪いこと。幸福なこととつらいこと。美輪さんの人生には、正と負の出来事が、まるでシーソーのように交互に訪れた。“退廃の美” そのものである美輪さんが、今あらためて語る “人の世を生き抜く極意” とは? 

FRaU 2017年 7月号掲載「美輪明宏が語る人の世について」インタビュー〈第3弾〉公開!

 
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世に咲く花がバラばかりだったら
いくら綺麗でもつまらない

画像: 世に咲く花がバラばかりだったら いくら綺麗でもつまらない

幸せとは何でしょう。私は、幸福とは充足感だと思っています。何もかも満ち足りた気分になる。そんな感覚を得られたら、それは幸福ですが、実は充足感の成分は泡。ほんの一瞬で消えてゆくものです。私は、幸せに憧れたこともなければ、美に固執したこともありません。人に嫉妬したことなど、一度もありません。本当です。

だって、人は人、自分は自分なのです。みんな違う花。それぞれに良さも悪さもある。比べるから嫉妬するわけでしょう? なぜ比べるの? 容姿容貌、年齢、才能、ありとあらゆるものが、人間は一人一人全部違うのだから、比べる必要なんてどこにもないのです。なのに人間は、ファシズムというか、どうしても民族主義みたいなところがあって、みんな同じ家に住んで、同じものを食べて、同じ思想を持つことで安心する。

最近は特にまたそれを良しとする風潮があるようだけれど、全くもって不自然です。だって、この世の中の、動植物はみんな同じですか? 世の中に咲く花、全部がバラだけだったら、いくら綺麗でもつまらないでしょう? 蘭だけでもつまらない。菊にオミナエシもタンポポもあって、チューリップもダリアも蓮華も、それぞれあるから、楽しくて綺麗なんです。タンポポと蓮華、どっちがいいって、そんなのは好き好きです。猫だって、犬だって、どんどん種類が増えているのに、どうして人間だけが同じじゃなければいけないんでしょう。

民族主義をおかしいと思う感覚は、私が第二次世界大戦を経験していることも大きいのでしょう。日本で軍国主義が始まったとき、私はまだ小学校に入る前でした。男の子だというだけで、みんな坊主、女の子はモンペを強要され、幼いながらに腹を立てていました。

 

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