なぜペトロールズはミュージシャンたちに愛されるのか? 星野源、椎名林檎からSuchmosまで。玄人が惚れ込むスリーピースの音楽的知性。

 

知る人ぞ知る、ペトロールズが
プロから愛される理由

画像: Photo:Naoya Matsumoto

Photo:Naoya Matsumoto

「誰もが知ってる人気者」というわけではない。むしろ知る人ぞ知る存在だ。結成からの12年で、リリースしたフルアルバムは2015年の『Renaissance』1枚のみ。大規模なタイアップやメディア露出もほとんどなし。しかし評判が評判を呼び、その名前はじわじわと広まりつつある。

長岡亮介、三浦淳悟、河村俊秀による3人組、ペトロールズ。彼らの特徴はまず同業者であるミュージシャンにファンが多いということだ。特にヴォーカル/ギターの長岡亮介はこれまで多くのアーティストのバックをつとめ、信頼を集めている。その代表が椎名林檎と星野源。

かつて「浮雲」という名で東京事変のメンバーに加入した彼は、その後に亀田誠治の紹介で星野源の作品に参加。アルバム『Yellow Dancer』や「恋」、新曲「Family Song」でも欠かせない存在として活躍している。昨年の紅白歌合戦でも長岡亮介は椎名林檎、星野源双方のバックでギターを弾いていた。

大物たちの信頼だけではない。ペトロールズは若い世代のミュージシャンからも広くリスペクトを集めている。その象徴が今年3月にリリースされたトリビュートアルバム『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ?』。この作品にはSuchmosやnever young beach、Yogee New Wavesら、今の音楽シーンを担う気鋭のアーティストたちが参加。

さらに8月9日に配信リリースされたその続編となる新作『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ??-EP』には、呂布(KANDYTOWN)、MONO NO AWARE、踊Foot Works、中村佳穂という次代を担う4組が参加。ヒップホップやサイケロックなどそれぞれの解釈でペトロールズの楽曲をカバーしている。

なぜ彼らはここまでミュージシャンたちに惚れ込まれているのか? その理由は長岡亮介の持つ「音楽的知性」にあると言える。カントリーやブルーグラス、ジャズやソウルなど多彩なルーツミュージックを咀嚼した彼が作る曲は、8ビートの疾走感に頼りがちな日本のロックやポップスの傾向とは一風違う、溜めたグルーヴの心地よさと色気を感じさせるものだ。その洗練された音楽性と卓越した技術に魅了される人たちが増えているのである。

星野源やSuchmosなどコンテンポラリーなブラック・ミュージックを吸収した新しいJ-POPが席巻するここ数年の日本の音楽シーン。実はその潮流の大きなキーを握っているのが長岡亮介、そしてペトロールズと言えるだろう。
 

画像: 知る人ぞ知る、ペトロールズが プロから愛される理由

『WHERE, WHO, WHAT IS PETROLZ ??』
4組の新鋭アーティストがペトロールズの楽曲をカバーしたトリビュート盤。ジャジーなヒップホップを繰り広げる踊Foot Worksと呂布(KANDYTOWN)、ピアノを軸にしたサイケ調の中村佳穂、洒脱なシティポップのMONO NO AWAREと、それぞれハイセンスな音楽性で原曲を料理している。(右はEP版)

 

PROFILE

柴那典さん
音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。著書に『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)ほか。共著の『渋谷音楽図鑑』(太田出版)が好評発売中。

 
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●情報は、FRaU2017年10月号発売時点のものです。

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