――映画『何者』への出演が決定する前から「原作はすでに読んでいた」という佐藤さん。だがしかし、自分が出演するのはもちろん、主人公の二宮拓人役を演じることになるとは「当時は想像もしていなかった」と語る。

FRaU 2016年11月号掲載「心の中を見せない友人同士」インタビュー全文公開!

 
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最初は断られたんです。
キッパリ「やらない」と。

画像: 最初は断られたんです。 キッパリ「やらない」と。

佐藤 映画化が決定した段階では、まだキャストは未定だったので。朝井君と飲みながら「誰がやんの?」って、そんな話はしていたんです。

朝井 で、これも彼は全く覚えていないらしいんですけど。そこで僕が「もし、オファーが来たらどうする?」と尋ねたら、それはもう見事に「やらない」とキッパリ即答されまして(笑)

佐藤 いやいや、まずそれは、僕のところにオファーが来ないと思ったからこその発言だったと思うんだけど。まあ、正直に言うと……原作を読んだ方にはおわかりいただけると思いますが、『何者』は主人公が損をする役回りになりうる危険性を秘めた作品じゃないですか。しかも、それを作者本人に伝えたら「本当にそう‼」って(笑)。力強く頷かれたから僕も言ったんですよ。「だったら、そんな怖い役はできない」って(笑)。

 
――そんなやりとりがあっただけに「キャスティング会議で “佐藤健” の名前が挙がるたび、申し訳ない気持ちになった」と語る朝井さん。同時に「20代の役者さんの名前が羅列し比較される中で “こういう作品にも理解を持って挑める頭の良い役者” として誰もが佐藤健を高く評価していた。今まで、TVや映画での活躍は見てきたけど、業界内でのリアルな彼の評価を耳にして、改めて “役者・佐藤健” の凄さを痛感した」なんて発言も。

そして、佐藤さんの元に届いた拓人役のオファー。快諾した理由を尋ねると「いろんな人に断れに断られ、ついに俺のところに来たか、と。“お疲れ様” の気持ちで引き受けた」と笑った彼だが、「拓人を演じるのはすごく難しくて。最初は悩みに悩んだ」そう。

朝井 その結果、彼は見事な珍回答を叩き出すわけですよ……。「そうだ、朝井リョウをコピーしよう」という(笑)

佐藤 演じやすいんですよね、一つの軸が決まると。まあ、つまり僕は拓人に朝井君を重ねていたわけなんですけど。

朝井 それも読み方のひとつですよね。登場人物全てに僕がいると思うので。

佐藤 それも含めて、いろいろ彼に取材したんですけど。その結果、拓人に関しては、完璧なイコールではないものの、どうやらかなりの部分を占めていることが判明(笑)。そこで、彼の家へ行き、まずは通っている美容室を聞き出し、そこに行ってお願いしたんです。「朝井リョウの髪型にしてください」って。

朝井 世の中の若者達が「佐藤健みたいにして下さい」と美容室に駆け込む中、その佐藤健が「朝井リョウにして下さい」とお願いするなんて……こんなことはもう二度とないですよ‼

 

人気役者と直木賞作家、
それぞれが持つ “美学”

画像: 人気役者と直木賞作家、 それぞれが持つ “美学”

――原作者そして主演俳優として、ひとつの作品に関わることで今まで知らなかったお互いの “一面” にもふれることができたとか。“以外とフランクな俳優” そして “想定外によくしゃべる作家” という印象からスタートした二人だが、『何者』という作品を経た今、その印象がどう変わったのかも気になるところだ。

朝井 今改めて思うのは、佐藤健には “品” があるということ。これは僕個人の意見なんですけど、品がある人って “何をする” ではなく “何をやらないか” 決めている人だと思うんですよ。その明確なボーダーラインが佐藤健の中に存在するというか。それを感じたのが『しゃべくり007』。

あの番組って芸人さんがきっかけを作り、それにゲストが乗っかるという、流れが存在するじゃないですか。たいていの人がそれに乗るなか、この人だけはそれを拒否。流れに乗る人が良い人だという風潮も、乗った方が楽かもしれないという誘惑も、全てはね退け、それはもうキッパリと(笑)。それを見た時に僕は思ったんですよ。「これは強さだぞ。この強い意識が積み重なって、彼の品につながっているんだ」と。

佐藤 はははは‼ まあ、そういう “美学” のようなものは自分の中に存在するのかも。幼少期にそれを培ってくれたのが主に漫画やゲーム。中でも『天使な小生意気』という漫画がバイブル的にその形成に強く影響しているんですけど。

朝井 そして、この人は中2の頃、放課後の帰り道に思ったらしいんですよ。「人間としての本質はもう完成したな」って。すごいでしょ⁉ 自分の中2の息子がこんなことを言い出したら、肩つかみますよね。「大丈夫か?」って(笑)

佐藤 そういう朝井君も自分の “美学” みたいなものはあるでしょう?

朝井 まあ、ありますよね……クイズ番組には出ない、とか。

佐藤 そこ!?(笑)

朝井 要は、作家として作品に繋げることができるかどうか、そこで全てを判断する。それが僕にとっての一つの美学でもあるんだけど。こないだ、藤井隆さんにお会いした時に「そういうものを全て放棄して挑むことで、見つかる美学もあるよ」と言われて。確かに、思わぬところで鍛えられる筋肉もあるなと。執筆に関しては、いろんなものをとっぱらってみようと、最近はそう考えているんです。まあ、クイズ番組に関しては、今のところ出る予定は一切ないけど(笑)。

 
――普段の姿そのままに盛り上がりに盛り上がった “友達” 対談。最後に、朝井さんにこんな質問をぶつけてみた。「佐藤健を主人公に小説を書くとしたら?」

朝井 それは難しい質問ですね。光が当たっている人の目線で小説を書くのって凄く難しいんですよ。本人にはその光が見えていないから……。

佐藤 いや、朝井君の目には光の中にいるように見えるかもしれないけど、僕らには僕らの影があるから。逆にそこを書いて欲しいよね。

朝井 今、健君が読んでくれている『スペードの3』の3話目がまさにそういう話なんだよ。そうそう、そこを凄く読んで欲しかったの‼ 感想が聞きたくて‼

佐藤 そうなんだ。じゃあ、次回はその感想会だね(笑)。

 

PROFILE

佐藤健
1989年 3月21日生まれ。07年「仮面ライダー電王」で初主演。その後、ドラマ『ROOKIES ルーキーズ』で注目を集め、NHK大河ドラマ『龍馬伝』、『天皇の料理番』等でその実力を高く評価され、映画『るろうに剣心』全三部作では国内外の話題をさらった。

朝井リョウ
1989年 5月31日生まれ。大学在学中『桐島、部活やめるってよ』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。その後も数々の話題作を世に送り出し、13年『何者』で直木賞を男性史上最年少受賞。現在、『何者』のスピンオフ的な作品『何様』が大きな話題を呼んでいる。

 

INFORMATION

『何者』
就職活動を目的に集まるようになった拓人(佐藤健)、光太郎(菅田将暉)、瑞月(有村架純)、理香(二階堂ふみ)、そして「就活はしない」と宣言する理香の彼・隆良(岡田将生)。最初は協力し合っていた彼等だが、仲間の一人に “内定通知” が届いたその時、それぞれの本音があらわになる……。

 
●情報は、FRaU2016年11月号発売時点のものです。
Photo:Mai Kise Styling:Satoshi Yoshimoto Hair&Make-up:MIZUHO(ritaminz) Interview&Text:Miwa Ishii

 
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