2016年10月号掲載のスペシャルインタビュー「山口智子×水原希子 異分子の美学」第2弾公開。

 
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“選べる” ことは
何よりの幸せだと思う。(山口)

画像: 山口さん分・トップス ¥279000 、スカート(参考商品)/ブルネロ クチネリ ジャパン(ブルネロ クチネリ) ネックレス¥915000、左手・手首側ブレス¥238000、チャーム¥600000、右手ブレス¥294000/ジ ュエルズ・オブ・ストラスブルゴ 左手ブレス¥60000/メタルスミス マテリアル 伊藤 丈士(FLAP) 水原さん分・ドレス¥151000、 シューズ¥124000/プラダ ジャパンカスタマーリレーションズ(MIU MIU)

山口さん分・トップス ¥279000 、スカート(参考商品)/ブルネロ クチネリ ジャパン(ブルネロ クチネリ) ネックレス¥915000、左手・手首側ブレス¥238000、チャーム¥600000、右手ブレス¥294000/ジ
ュエルズ・オブ・ストラスブルゴ 左手ブレス¥60000/メタルスミス マテリアル 伊藤 丈士(FLAP)
水原さん分・ドレス¥151000、 シューズ¥124000/プラダ ジャパンカスタマーリレーションズ(MIU MIU)

――山口さんも、希子さんぐらいの年齢の頃は、いろいろ思い悩んだりしていたんでしょうか? 

山口 若者は悩むことが仕事みたいなものでしょ?(笑) みんな悩んで大きくなれる。悩みや問題にひとつひとつ立ち向かっていく事が、年齢を重ねる醍醐味です。何ものにも代えがたい、自信と誇らしさが人生に満ちていく。自分の人生を、自分で選び取って進むことは、最高の幸せだと思います。

 
―― “自分で選ぶ” ことが喜びなんですね。

山口 あれこれ悩むより、選択できる岐路にいることに、まず感謝すべき。世界には、選ぶ事を許されない理不尽な現実がたくさんあるのだから、“選べる” ことは何よりの幸せだと思う。それに、自分で選んでさえいれば、絶対に後悔しないでしょ? 

希子 はい。そこで思うような結果が得られなくても、最終的には “学び” につながりますよね。人が敷いてくれたレールに乗って、そこで失敗したら、それほど後悔することはない。私は、自分で選択して、そこで失敗があっても、それは自分にとっての学びだし、成長に必要なプロセスなんだって考えるようにしています。

山口 きっと希子さんは、今までたくさんの困難に立ち向かってきたんだと思う。

希子 生きるって、すごく大変です(苦笑)。今年になって、大きな困難にぶち当たって、正直まだそれを乗り越えきれていない状態なんですけど、今は、そこで経験した “痛み” も、人間としての大切な経験なんじゃないかって思ってるんです。

今まで、これほどの痛みを感じたことはなかったけれど、女優としてやっていくなら、それまでなら想像できないような感覚を体験できたことは、財産になるかもしれないって……。心にあんな激痛が走るなんて、経験してみないとわからなかった。私はそんなに器用じゃないから、想像だけでお芝居はできないので……。

山口 希子さんから、そういう話を聞くの初めてかも。

希子 でも、その分いいこともいっぱいありました。傷ついているときだからこそ、本当の人の優しさに触れられたし、周りの人をそれまで以上に大切に思えるようになった気がするんです。今までは、優しい言葉をかけてもらっても、「ありがとう」って思うだけで、それが自分の力になることはなかった。でも、心のこもった言葉って、勇気をくれるんですよね。

今は、以前よりも、人の優しさやコミュニケーションの大切さを痛感しているし、いろんなことがあった分、自分の人生が、どんどんオリジナルになっているような気がします。綺麗なものばかりじゃなかったけれど、自分しか見られないような景色も見られたし……。

山口 2016年、濃いね。

希子 かなり(苦笑)。前から、「変化の年」だって言われてて、年初は、「海外に行ってバリバリ仕事して、いっぱいメディアに露出して、忙しくなるんだろうな」って勝手にイメージしてたらそうじゃなくて、2016年は、いろんな感情を豊かにする年なんだなって気付かされました。

山口 素晴らしい! どんな経験も、それをどう自分の人生に生かすかにかかっているから。希子さんは、国とか言葉とか、狭い枠を超えて世界を繫いでくれる人物なんだから、勇気をもって、またチャレンジ続けてほしいな。

希子 そうなるのが夢なんですけど、世の中そう甘くないです(苦笑)。カルチャーが違うところに飛び込んでいくことは、やっぱり難しい……。私は、すべてのカルチャーに対してリスペクトの気持ちしかないけど、周りも同じような見方をしてくれているとは限らないんですよね。

ただ、すごく貴重な経験もできました。中国で、現地の俳優さんたちと、何ヵ月も一緒にトレーニングすることがあって、向こうは母国語が中国語で英語も多少話す、私は日本語が一番得意で、英語も一応話せるけど、中国語は勉強中。頑張って英語や中国語を駆使しても、うまく意思の疎通がはかれない状態だったのに、目的ややりたいものが同じで、お互いをリスペクトできていれば、深いところで繫がれることがわかって……。

感情さえあれば、人と人は繫がれるってことを初めて経験して、それがすごく美しいなと思ったんです。言葉を交わさなくても心と心で繫がれた。

山口 一緒により良いものを目指せるって素敵だよね。

希子 何を言ってるかはわからなくても、笑いあえる。一生の記憶に残る、美しい時間だったと思います。人間、心がすべてなんですよね。

山口 相手を知ろうとする気持ちから、全ては始まるよね。

希子 だから、私はいろんな人に対して、いいところを見出して、もっと受け入れられるようになりたい。誰でも、長所があれば欠点もあって、山口さんが言うように、差異を受け入れることで、心で見る景色がカラフルになればいいなって思います。

山口 希子さん! 数ヵ月会わない間に、人間力が倍増してる! 以前の希子さんとは、確実に何かが違う。

希子 山口さんの優しさにも、何度も救われています。この何ヵ月かは、それともう一つ、エンタテインメントの力みたいなものにも助けられたり、癒やされたりしました。疲れたときに読んだ本や観た映画、落ち込んでいるときに聴いた音楽に、「この人も戦ってるんだ」「傷ついてるんだ」とか、共感する部分があったり、励まされたり……。私も、それを受け取った人の何かしらの力になるような、そんな作品に関わりたいな、って思ったりもしました。

 

人の期待や想像を
いい意味で裏切っていきたい。(希子)

画像: 人の期待や想像を いい意味で裏切っていきたい。(希子)

――ところで、もし’90年代にSNSがあったら、山口さんはそういうネットワークサービスを通じて、何かを発信していたと思いますか?

山口 ’90年代前半は、ケータイもまだ珍しかったから、連絡を取り合うにも、「まず家に帰って留守電聞かなきゃ」って感じで……。だからさっさと家に帰って、連続ドラマを観て、その話で翌日皆で盛り上がったり(笑)。シンプルながらも充分やることはいっぱいあったし、自分の仕事である演技に集中して、「作品」を通して社会に思いを発信していた。

でも今は、自分が毎日何を見て何を思って何を食べているか、克明にプライバシーを公にすることを、当たり前のように求められる時代。刻々と情報を更新するエネルギーが膨大で、みなさん大変だろうなと思う。互いに繫がる楽しさもあると思うけど、私は、個人的な事は自分からは決して語らない。できれば静かに放任しておいてほしい(笑)。もちろん問われれば、誠意を持ってお答えしますが、語るには、まだ百年早いような気もする(笑)。

希子 私の場合、プライベートを発信するというより、好きなものとか、私がいいと思ったものを広める場として捉えているんですけど、反応がすぐ返ってくるツールが普及すると、どうしても、万人受けするものばかりが発信されていくような気がして、そこはちょっと残念な気がします。

山口 特に芸能の世界で、人の顔色を窺いながら、当たり障りのないものばかりを作っているようでは、あまりに悲しい。無難な道を、あえて避けて進むべき。

希子 生意気かもしれないですけど、私、裏切りがないものは面白くないと思うんです。私は、人の期待や想像をいい意味で裏切っていきたい。人が見たことがないものを発信していたいし、人の心をくすぐりたい。

山口 頼もしいな。

希子 最近、いいなと思うのは、私より年下の世代の色々な分野のクリエイターたちがすごく盛り上がっていて、誰かの真似ではない、オリジナルの才能がどんどん出てきているんです。

山口 教えて、教えて。

希子 私が今25歳で、それより5歳ぐらい下、今の20歳前後の世代は、有名になりたいとか、お金を稼ぎたいとか、そういうのとは違う、もっとピュアな動機で、仲間うちでものづくりをしたり、自
分がいいと思うものを声高に叫んだり。そういう子たちを見てると、面白い時代はすぐそこに来てるのかな、って思いますね。で、そういう子たちのために、私の経験を活かせればな、とも思ったり。

山口 25歳にして、後輩を育てる心境に至れるってすごい!(笑)

 
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PROFILE

山口智子
1964年生まれ。’88年NHK朝の連続テレビ小説「純ちゃんの応援歌」のヒロイン役でデビュー。「ダブル・キッチン」(’93年)、「29歳のクリスマス」(’94年)、「王様のレストラン」(’95年)、「ロングバケーション」(’96年)など代表作多数。映像制作にも携わり、2010年以降、世界の音楽文化を収めた映像シリーズ「LISTEN.」(BS朝日)をプロデュース。

水原希子
1990年アメリカ生まれ。兵庫県育ち。2003年モデルデビュー。’07年7月よりViVi専属モデルに。’09年「ノルウェイの森」で女優デビュー。’13年には「八重の桜」で大河ドラマにも出演した。’15年公開の映画「進撃の巨人」前後編ではアクションにも挑戦。この年、ドラマ「心がポキッとね」で山口智子と運命の出会いが。大根仁監督の映画「奥田民生になりたいボーイとすべての男を狂わせるガール」(’17年公開)では “すべての男を狂わせる” 天海あかり役。’10年「KIKO」、’12年「水原希子×蜷川実花 girl」という2冊のフォトブックを刊行。

 
●情報は、FRaU 2016年10月号発売時点のものです。
Photo:Akinori Ito(aosora) Styling:Keiko Shimizu(Yamaguchi/signo) Tatsuya Shimada(Mizuhara/TRON) Hair&Make-up:MICHIRU(Yamaguchi/3rd) Katsuya Kamo(Mizuhara/KAMOHEAD) Interview/Yoko Kikuchi

 
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