2016年10月号掲載のスペシャルインタビュー「山口智子×水原希子 異分子の美学」第3弾公開。

 
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一生かけないと出ない答えがあるから
人生頑張れる(山口)

画像: 一生かけないと出ない答えがあるから 人生頑張れる(山口)

――山口さんが、自分の個性とかオリジナリティみたいなものを意識し始めたのは、いつ頃なんですか?

山口 ずっと家業を継ぐ道を強いられてきたので、人生の夢や、自分が何をやりたいか、そんな私情は心から抹殺して育ちました。いつかは田舎に帰る期限付きで、短大に通うために上京し、今しか出来ない何かを求めて、モデルのお仕事やオーディションを続けていくうちに、今に至っています(笑)。

結局、時間はかかりましたが、人生を自分で選びとることに、親も納得してくれました。でも当時は、モデルの仕事をしながらも、コンプレックスのかたまりでした。なぜなら私は、一般的なモデルさんの華奢なスタイルと違って、丸顔でがっちりした運動部体型。私がお役に立てる場所は、本当にここだろうかと真剣に悩みました。でも、求めていただける限り、全力で進むしか道はなかった。

希子 当時結婚は? 夢でしたか?

山口 結婚というより、「主婦」に対する憧れがありました。好きな人の力になりながら、毎日の生活をクリエイトできるなんて、なんて楽しい仕事だろうって! 衣食住、全てを自分流にディレクション出来るわけですから。

希子 私も結婚に魅力は感じますけど、それをゴールにはしたくないし、今、仕事をしながら残したいこと、成し遂げたいことがあるのに、「結婚はどうするの?」とか聞かれると、わかんなくなっちゃう。いい映画、いいドラマに出て、人の心を動かせたら、どんなにいいだろう。それが、自分の中での成功だなって思ってるのと、いろんなカルチャーを持っている人と仕事がしたいっていう目標もある。だから今は、ぐいぐい仕事がしたいんです。

でも、仕事以上に、恋愛とか結婚に関して、興味を持たれちゃうから、考えざるを得なかったり……。そもそも、ウチは両親が離婚してることもあって、結婚して幸せになるっていうイメージが湧かない。山口さんの結婚生活とか、すごく憧れます。幸せそう!

山口 うちは幸せです!(笑)

希子 そう言い切れる人って、すごく少ない気がする。私は、自分が、先々まで一人の人とうまくやっていけるかどうか、まだ自信がないです。

山口 だって結婚って、自分の人生を、さらに良くするためにあるんだよ。より幸せに、より心地よくするために結婚する。希子さんが、ちゃんと自分の人生に集中できるように、助けてくれる相手と、一緒に築いていくものが家庭だもの。もちろん、ただラクチンに相手に頼ってばかりでは、長続きしない。力を要するものではあるけれど、それ以上の力をもらえる。

自分の事より先に、誰かの事を思いやる暮らしって、なんだかんだ言ってもすごく楽しい。二人でいる事は、生活に程よい緊張感も生まれるし。好きな人のためにも、ちゃんとした人間になりたいと思える。

希子 思います。

山口 夫がいてくれなかったら、私、相当毎日に、手を抜いてしまうかも。

希子 だから私の場合、同棲ができるかどうかも怪しい。

山口 でも、お試し期間はあったほうがいいんじゃない? 暮らしてみないとわからないことあるでしょ?

希子 お試し期間、ありました?

山口 唐沢さんと25歳くらいで出会って、ほとんど一緒に暮らすようになって、5〜6年後に結婚した。

希子 長い! ずーっと仲よくて、すごいですね。

山口 もちろん、ずっと円満な関係なんてあるわけないし、ぶつかり合う事もあったけれど、今は、時間をかけて築いてきた絆が、何より愛おしいと思える。でも、日常的な価値観の相違で、愛も消える事はあるから(笑)、共に時間を過ごしてみることは大切かも。生活サイクルとか、食の好みとか……。 でもうちは互いの趣味は全く違う。彼は、ブルース・リーと車と仕事が人生の三本柱(笑)。

希子 趣味は、別に共有しなくてもいいんですね。

山口 といっても、「食」に関しては、「おいしいね」って一緒に感動したいなあ。人と同じでなくていいから、たった一つでも、感動を共有できるといいね。

希子 仕事で大変だったときに、励まし合ったりとか、しました?

山口 仕事に関しては、互いに全くノータッチ。「こんな仕事があるよ」って報告はするけれど、「興味があるならやれば」って言われるだけ。もちろん互いに応援はするけれど、選ぶのも決めるのも、その仕事をやり遂げるのも、自分自身の責任だから。

希子 恋人に限らず、人に相談する時って、「どう思う?」なんて聞いても、答えは最初から自分で決めてたりしますしね(笑)。

山口 趣味が重ならないことに、若い頃は苛立つこともあったけれど、年月が経つうちに、違うから面白いと思えるようになったから不思議。結婚して20年経った今でも、まだまだ知らない相手の一面が見えてきて、びっくりする。毎日が発見の連続。時とともに自分も変わっていくことで、相手の見え方も、信じられないほど変わる。そうやってじっくり時間をかけて、人生を味わってゆける事こそ、夫婦の特権。

希子 時間がかかるなぁ(笑)。

山口 時間がかかるから、人生は面白い! 一生かけないと出ない答えがあるから、人生頑張れる。いいものを創りあげるには、時間がかかって当然だと最初から思っていれば、気負う事なく進んでいけるでしょ。

希子 でも、そんなに同棲期間が長かったなんて意外です。もっと、自分たちの時間を大事にしてるタイプなのかと思ってました。

山口 結婚してからやっと、互いに心に余裕ができて自立できたかも? 同棲時代は、とにかくがむしゃらに仕事にチャレンジする時期でもあったから、外で一生懸命戦って、二人の場所に帰ってきたら、共に過ごすことを何より優先しようという気持ちだった。結婚後も、出来るだけ予定を合わせて、一緒にごはんを食べるようにしているけれど、今はそれぞれの人生の楽しみ方の枝葉が広がって、互いにのびのびと解き放たれて、安心して社会に出て行ける(笑)。

希子 ずーっと仲いいんですね。

山口 仲はいいです(笑)。夫であり、恋人であり、友達であり、家族であり、近所のおじさん?でもあるけど(笑)。

希子 私もそんな関係が理想です。結婚するなら、山口さんにとっての唐沢さんみたいに、思い切り自分のエネルギーを注げる相手じゃないと。

 
――楽しみの枝葉を伸ばしていった、その最初の楽しみが、山口さんにとっては “主婦業” だったんでしょうか?

山口 たまたま、それまでできなかった家のことに夢中になった時期で、“主婦業に専念する” というような、覚悟や気負いは全くなかったです。俳優と言う仕事を貫くためにも、毎日をちゃんと生きて、人間として修業を積まなくてはという思いはありました。自分の知らない世界への勉強欲が満ちあふれてた。

 
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PROFILE

山口智子
1964年生まれ。’88年NHK朝の連続テレビ小説「純ちゃんの応援歌」のヒロイン役でデビュー。「ダブル・キッチン」(’93年)、「29歳のクリスマス」(’94年)、「王様のレストラン」(’95年)、「ロングバケーション」(’96年)など代表作多数。映像制作にも携わり、2010年以降、世界の音楽文化を収めた映像シリーズ「LISTEN.」(BS朝日)をプロデュース。

水原希子
1990年アメリカ生まれ。兵庫県育ち。2003年モデルデビュー。’07年7月よりViVi専属モデルに。’09年「ノルウェイの森」で女優デビュー。’13年には「八重の桜」で大河ドラマにも出演した。’15年公開の映画「進撃の巨人」前後編ではアクションにも挑戦。この年、ドラマ「心がポキッとね」で山口智子と運命の出会いが。大根仁監督の映画「奥田民生になりたいボーイとすべての男を狂わせるガール」(’17年公開)では “すべての男を狂わせる” 天海あかり役。’10年「KIKO」、’12年「水原希子×蜷川実花 girl」という2冊のフォトブックを刊行。

 
●情報は、FRaU 2016年10月号発売時点のものです。
Photo:Akinori Ito(aosora) Styling:Keiko Shimizu(Yamaguchi/signo) Tatsuya Shimada(Mizuhara/TRON) Hair&Make-up:MICHIRU(Yamaguchi/3rd) Katsuya Kamo(Mizuhara/KAMOHEAD) Interview/Yoko Kikuchi

 
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