話題の人のルーツを探る連載、第4回のゲストは俳優の岡山天音さん。演じることで発揮される存在感だけではなく、その感性と話しぶりも独特で、いつの間にか引きこまれてしまった。

 

岡山天音さんのCHRONOLOGY

1994年
東京都国立市生まれ

2009年
『中学生日記』(NHK教育)の主役でデビュー

2010年
中学を卒業後、事務所に所属。

2011年
ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ)ほか

2012年
ドラマ『黒の女教師』(TBS)、映画『Another アナザー』ほか

2013年
ドラマ『放課後グルーヴ』(TBS)、映画『人狼ゲーム』ほか

2014年
ドラマ『夜のせんせい』(TBS)、『すべてがFになる』(フジテレビ)ほか

2015年
映画『合葬』、短編映画『死と恋と波と』、ドラマ『サマー・ストーカーズ・ブルース』(フジテレビ)ほか

2016年
映画『ライチ☆光クラブ』、『セトウツミ』、『黒崎くんの言いなりになんてならない』、『ディストラクション・ベイビーズ』ほか

2017年
連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK)、ドラマ『貴族探偵』(フジテレビ)、映画『帝一の國』、『ポエトリーエンジェル』、『パーフェクト・レボリューション』『氷菓』ほか

 

中学卒業後
輝ける居場所を求め、役者の道へ

画像: 衣装協力:Verandah aoyama(ブルゾン、シャツ、Tシャツ)、CORD(パンツ)、FRANK BLACK(靴)

衣装協力:Verandah aoyama(ブルゾン、シャツ、Tシャツ)、CORD(パンツ)、FRANK BLACK(靴)

NHKの連続テレビ小説『ひよっこ』をはじめ、ドラマ『貴族探偵』や映画『帝一の國』など、次々と話題作に出演し、個性と存在感を発揮する現在23歳。まずは、小さい頃に感じていたことを聞いてみた。

「保育園に通っていたとき、昨日こういうことあったよねって話しても、まわりの子たちは覚えてないって言うんですよ。そっか、次の日になるとみんなは忘れちゃうのか、と思って。もう昨日のことを話すのはやめようって」

いきなりの何とも言えないエピソード……。この感性は、一体どんな環境で育まれたのか。

「物心つく前に親は離婚していて、一人っ子の母子家庭です。ただ、父親との関係は母親が繫いでくれていたので、ずっと会ったりはしていました。両親ともお芝居をやっていて、プロの役者にはならなかったんですけど、演劇のワークショップで出会ったと聞いています。だからといって、演劇をたくさん観せてもらったりしたわけではないですが、やっぱり少しは影響されたのかなとは思いますね」

 
自由な思考ゆえ、幼い時から規則に縛られるのが嫌いだった。

「とりあえず学校が好きじゃなかったんです。小学校も、保育園もあんまり行ってなくて。中学校は全然ですね。別に不良だったとかじゃなく、どうしてみんな朝ちゃんと起きて行って、夕方までいられるんだろうって、単純に不思議でした」

そんな学校嫌いの生徒ではあったが、中学校ではバスケ部に入部する。

「1年生のときは練習ばっかりで、2年生になって試合に出られるようになったんです。でも試合って大勢の人が見てるじゃないですか。人が見ている前で何かをするの恥ずかしいなって。それにバスケのユニフォームを着て、肌を露出するのも恥ずかしかった。それで結局やめちゃいましたね」

 
退部の理由が独特すぎる……。しかし、中学3年になると、自ら『中学生日記』の生徒役に応募。全国オーディションを経て、主役に抜擢される。

「ずっと『中学生日記』のファンだったんです。番組の決まりとして事務所に入っている子は出られなくて、生徒役は全員リアル中学生。学校つまらないなぁってずっと思っていた日常と比べると、撮影の現場はめちゃくちゃ楽しくて、すごく新鮮でした。それまでの短い人生の中で一番キラキラした時間でしたね。それで、これがずっと続いてほしいと思って、今の事務所のオーディションを受けたんです」

所属事務所が決まると、高校へは進学せず、役者の道一本で行くことを決意する。

「実際に高校は行ってないのに、学園もので生徒役はたくさんやりました。そこで共演した同世代の中にはチャラチャラしてる人もいて。もちろん全員ではないですけど。正直それがイヤでした。真面目すぎたんですかね。自分でも不器用だなとは思います。共演した同級生は100人以上いると思いますが、今でも付き合いが続いてるのはほんと一人か二人ぐらいです」

 
20代になり、規模も影響力も大きい作品への出演が多くなると、知名度も増してくる。いわゆる“人気”については、どう考えているのだろうか。

「顔はなんとなく覚えてもらっているとは思うんですけど、まだ名前は知られてないんですよね。今日も外を歩いてたら『あ、ひよっこだ!』って言われました。いや、おれはひよっこじゃないんだけどな……って。だから売れたいです。人気ほしいですよ」

人付き合いが得意ではないと自覚しているが、少しずつ意識は変わってきているという。

「一人の時間は好きですけど、社交性は身につけたいと思うようになりました。でも、それを処世術としてやりたくはないんですよ。お世辞を言ったり、世渡り上手になりたいわけじゃないので。自分の意思で人間関係を円滑に進めたいと思ったとき、そのために必要な社交性がほしいんです」

 
驚くほど地に足のついた発言。覚悟を決めた人間の思慮深さに、年齢は関係ない。23歳の今、仕事に対する満足感はあるのか。

「仕事としては、まだまだ満足してないですよ。あ、でも、う~ん……足りないなぁって思いながら生きているのもイヤだし……。どうなんでしょう、何とも言えない、難しいですね」

どんな質問にも、ゆっくりと考えをめぐらせ、真摯に答えるその姿は、演技ではなく、素のままでも人を魅了してしまう才能に溢れていた。

 

INFORMATION

画像: ©2017『おじいちゃん、死んじゃったって。』製作委員会

©2017『おじいちゃん、死んじゃったって。』製作委員会

映画『おじいちゃん、死んじゃったって。』
11月4日、テアトル新宿(東京)、テアトル梅田(大阪)、Denkikan(熊本)ほか全国公開
とある夏の地方都市。吉子(岸井ゆきの)が彼氏とのセックスを中断して、鳴り続ける電話をとると、それは祖父の訃報だった。祖父の死をきっかけに、やっかいな家族の本音が露呈する。

「僕が演じたのは、引きこもりの浪人生の役です。作品の中で言い争う家族を見て、やっぱり男のほうに感情移入しちゃいました。自分も別の選択を続けていたら、こういう大人になっちゃうかもしれないなって」


 
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●情報は、FRaU2017年11月号発売時点のものです。 
EDIT:おぐらりゅうじ Illustration:Midoriko Sakakibara Photo:Ryohei Tsukada Styling:Satsuki Shimoyama Hair&Make-up:Nori

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