本は読みたいけど、自分で選ぶのは難しい……。そういうときこそ、人に聞いちゃいましょう。

普段からかなりの読書家という門脇麦さんがやってきたのは、新刊からリトルプレスまでが揃う書店「Title」。彼女が今読みたいものから、未知のジャンルまで、店主の辻山良雄さんが紹介します。

Title
店主:辻山良雄さん
大型書店「リブロ」池袋本店でマネージャーを務めていた辻山良雄さんが、閉店を機に独立し、今年1月に荻窪にオープンした新刊書店。辻山さんは「朝日新聞」の書評欄(週替わり)も担当。

 

本を読む人……

ひとりめ:門脇麦さん

画像: デニムのドレス¥58000、ハイネックカットソー¥26000(共に参考価格)/ディプトリクス(シャルル アナスタス) ローファー¥36000/リーガルコーポレーション 婦人靴お客様相談窓口

デニムのドレス¥58000、ハイネックカットソー¥26000(共に参考価格)/ディプトリクス(シャルル アナスタス) ローファー¥36000/リーガルコーポレーション 婦人靴お客様相談窓口

PROFILE 
1992年、東京都出身。女優。公開中の小池真理子原作、岸善幸監督映画『二重生活』で主演を務めるほか、又吉直樹原作のNetflixオリジナルドラマ『火花』ではヒロインを演じる。

 

Title店主・辻山良雄さんが選ぶ
門脇麦さんへのおすすめ本

胸に響くヘビーな「恋愛本」

画像: 店主の辻山さんおすすめをチェック。門脇さんも前のめりで真剣に耳を傾ける

店主の辻山さんおすすめをチェック。門脇さんも前のめりで真剣に耳を傾ける

門脇  今日は本を選んでいただけるということで、さっそく、骨太な恋愛小説をお願いします!

辻山 うーん、恋愛モノはあまり得意ジャンルではないのですが……写真家の植本一子さんの『かなわない』はどうでしょう?

小説ではないのですが、日々のことを綴っているうちに、年上の夫(ラッパーのECD)がいながらも、他の男性に魅かれてしまったりする切実さがズンズンと胸に響くヘビーな一冊です。

画像: 『かなわない』 植本一子 (タバブックス)

『かなわない』 植本一子 (タバブックス)

門脇 面白そうですね。小説だと、どうでしょうか?

辻山 じゃあ、『グレート・ギャツビー』はいいかもしれない。1920年代のアメリカを舞台に、昔付き合っていたけれど、ほかの男性と結婚してしまった女性を取り戻そうとして破滅する男の話です。愛に殉じる男の馬鹿馬鹿しさや、破滅的な生涯が美しく描かれています。

画像: 『グレート・ギャツビー』フィツジェラルド著/野崎孝訳 (新潮文庫)

『グレート・ギャツビー』フィツジェラルド著/野崎孝訳 (新潮文庫)

門脇 映画にもなってましたね。外国文学はあまり読んでこなくて。

辻山 あとは、谷川俊太郎さんの『女に』はどうかな。二人の愛は破局してしまったのだけれど、佐野洋子さんと恋愛中で毎晩彼女の家へ通っていたという谷川さんが書いた詩に、佐野さんが絵をつけた共作。

谷川さんには珍しく、生の感情をあらわにしている、素直な詩集です。

画像: 『女に』 谷川俊太郎著/佐野洋子絵 (集英社)

『女に』 谷川俊太郎著/佐野洋子絵 (集英社)

門脇 どの詩がお好きですか?

辻山 全編で物語のように続いていくのですが、「ここ」はいい詩ですよ。

門脇 (詩を音読して)うわ、めっちゃ、いい! めっちゃ、いい!

辻山 (笑)。

 

世界を広げてくれる「旅本」

画像: 世界を広げてくれる「旅本」

辻山 恋愛以外で今読みたいジャンルはありますか?

門脇 旅本も探しています。

辻山 連想する地域はあります?

門脇 場所というよりは、人に興味がありますね。

辻山 わかりました。かなり珍しい本なのですが、『イラン・ペルシア日記』がおすすめです。

著者であるデザイナーのご夫婦の旅行の様子をイラストとともに綴ったもので、文化的にまだ遠いと思われているけれど、最近はみんなが行けるようになった国で出会った人々との会話を読みながら追体験できる。

画像: 『イラン・ペルシア日記』金子泰子著/金子敦絵 (Blood Tube Books )

『イラン・ペルシア日記』金子泰子著/金子敦絵 (Blood Tube Books )

門脇 いいですね! 本を読んで次はどこを旅するのが一番面白いかな、と思いをめぐらせたりするので。

辻山 これは渋いかな〜。『謎のアジア納豆』という新刊なんですが。

画像: 『謎のアジア納豆』 高野秀行 (新潮社)

『謎のアジア納豆』 高野秀行 (新潮社)

門脇 これ、気になってました!

辻山 いろんな辺境に行っている高野秀行さんが、納豆の源流を追っていくうちに、アジアと括られる文化の共通項が浮かんでくる。

門脇 面白い! 子どもの頃から変わらないのですが、推理小説やサスペンスよりも、本質的なものの神秘に魅かれてしまうんですよね。

辻山 それなら『ピダハン』もいいかも。数もなく、左右の概念もないピダハン族に30年ほどくっついて暮らした著者の記録で、彼らと僕らの常識があまりに違って面白いです。

画像: 『ピダハン「言語本能」を超える文化と世界観』ダニエル・L・エヴェレット著/屋代通子訳 (みすず書房)

『ピダハン「言語本能」を超える文化と世界観』ダニエル・L・エヴェレット著/屋代通子訳 (みすず書房)

門脇 全部買います! でも、不思議なのが、好きな本ってなんでなんとなく直感でわかるんですかね?

辻山 手に持っただけで、明らかにいいと思える佇まいはありますね。丁寧な作りだったり。人の合う合わないとも似ているとも思います。

 

●情報は、FRaU2016年8月号発売時点のものです。
Photo:Ayumi Yamamoto Styling:Kentaro Higaki(little friend)Hair&Make-up:Naoki Ishikawa Text:Tomoko Ogawa Edit:Ryuji Ogura

 
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