ブランディングディレクター福田春美さんの連載。今回のゲストは、画家の萩原卓さんと刺し子作家の久子さん夫妻。豊かな緑に囲まれた日本家屋で送るのは電化製品に頼らない昔ながらの生活。お二人の暮らしについて聞きました。

 

[福田春美 連載 vol.6]
今回のゲストは……

画像: 卓さんと久子さん。夫婦でよく台所に立つ。

卓さんと久子さん。夫婦でよく台所に立つ。

萩原夫妻
卓さんは定年退職後、画家に。庭に咲いた花のスケッチシリーズは葉書やカレンダーになっている。一方、久子さんは幼いころから書に親しみ、前衛書家として作品を発表。その後、刺し子作家として活躍。2013~2014年、スウェーデンにて「SASHIKO展」を開催。

 

自然のものをそのままに
衣食住の素材を大切にする

画像: 久子さんは一閑張(いっかんばり)も手がける。

久子さんは一閑張(いっかんばり)も手がける。

春美(以下):この家の台所が好きなんです。至るところカゴだらけで、いろんなものがぶら下がっていて。今の私のキッチンは、久子さんに影響を受けたところが大きいです(笑)。

久子(以下HI):私はなんでも目に見えるところに置きたいの。だから工事のときに、大工さんの反対を押し切って、収納の扉をつけないでとお願いしたくらい。
 

画像: 毎日の食事は体に優しい自然食。かぼちゃは砂糖を使わず、土鍋で蒸しただけ。出汁も昆布しか使わない。野菜とひじきと油揚げが入ったちらしずし。ナタマメ、カンゾウの花のつぼみ、フジマメと一緒にいただく。

毎日の食事は体に優しい自然食。かぼちゃは砂糖を使わず、土鍋で蒸しただけ。出汁も昆布しか使わない。野菜とひじきと油揚げが入ったちらしずし。ナタマメ、カンゾウの花のつぼみ、フジマメと一緒にいただく。

:昔ながらの生活を大事にしているお二人にいつも感心しています。砂糖や動物性たんぱく質を取り入れない自然食を実践していますよね。電化製品も使わない。

HI:食べ物はその人自身を形成していくものでしょう。だからまずは素材を大切にしています。本物志向で素材や調味料を選び、鍋は土鍋を使えば、煮たり蒸したりするだけで、旨みが引き出されて、ぐっとおいしくなる。台所仕事は知恵と工夫だと思っています。

(以下):食べ物はもちろんですが、昔から使われていた家具や道具も好きで、台所の作業台は昔のそば打ち用のものと和菓子屋で使われていた台。客間のテーブルは100年前のものを30年前に購入して、今も使い続けている。いずれも本当にいい素材であれば、長く使うことができるんです。
 

画像: 久子さんの刺し子は生活の道具にもよく馴染む。手前は鍋つかみ、奥は熱くなるやかんの持ち手に巻いて。

久子さんの刺し子は生活の道具にもよく馴染む。手前は鍋つかみ、奥は熱くなるやかんの持ち手に巻いて。

:台所に飾ってある刺し子の鍋つかみも素敵ですね。

HI:残り布や端切れを使って、色合わせして作るのが楽しくて。これもすべて木綿の天然素材だから最後まで使いきることができる。だからゴミにならない。 

:今は土に還らないものが多すぎますね。とにかく不自然なものを取り入れないで、生き方も自然のものをそのままに。それが私たち二人の暮らしの基本です。
 

画像: 久子さんはスウェーデンでの展覧会を機に国際交流がスタート。現在、来日したテキスタイルデザイナーや学生たちに刺し子を教えるワークショップを開催している。玄関にスウェーデンと日本の旗を飾り、お出迎えする。

久子さんはスウェーデンでの展覧会を機に国際交流がスタート。現在、来日したテキスタイルデザイナーや学生たちに刺し子を教えるワークショップを開催している。玄関にスウェーデンと日本の旗を飾り、お出迎えする。

 
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PROFILE

福田春美さん
企業のプロジェクトをはじめ、ストアブランディング、インテリアスタイリングなど、ファッションからライフスタイル系まで、垣根を超えて幅広くブランドディレクションを手がける。趣味は料理と旅。最近は故郷・北海道の魅力にハマり、定期的に通い続ける日々。

 
●情報は、FRaU2017年11月号発売時点のものです。
撮影:若木信吾 Text:Chizuru Atsuta

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