7年ぶりに本格再始動を果たしたN.E.R.Dが、豪華ゲストと共にアメリカ社会に突きつけるメッセージ。

 

ファレル・ウィリアムスが
見せた新たな使命感

画像: ファレル・ウィリアムスが 見せた新たな使命感

マドンナやダフト・パンクなど数々のプロデュースワークに加え、自身のソロでも世界的な大ヒット「ハッピー」を生み出したファレル・ウィリアムス。彼と盟友チャド・ヒューゴ、シェイ・ヘイリーの3人組ユニットN.E.R.Dが久々に再始動、7年ぶりとなるアルバム『ノー_ワン・エヴァー・リアリー・ダイズ』をリリースした。

もともとファレルとチャド・ヒューゴは ’90年代末から ’00年代にかけてブリトニー・スピアーズやジェイ・Zなどに数々のヒット曲を提供したプロデューサーユニット「ザ・ネプチューンズ」の相棒同士。高校時代からの友人同士でもある彼らが結成したN.E.R.Dは、当初はヒップホップやR&B中心のプロデュースワークに対してロック的な方向性を追求するグループだった。が、新作ではサウンドも内容も大きく変化している。

まずポイントは、豪華かつ多彩な面々が揃ったゲスト陣。リアーナ、エド・シーラン、ケンドリック・ラマー、フューチャーなど、今のポップ・ミュージックのシーンを代表するラッパーやシンガーが顔を揃える。日本からもNIGO®がプロデュースするBILLIEIDLE®のメンバーが参加している。

そして二つ目のポイントは複雑かつ縦横無尽な曲調。ロックでもなく、かといって単なるヒップホップやR&Bとも違う。曲の途中でテンポや曲調がどんどん変わる性急な曲構成だ。ダンスホール・レゲエからアイリッシュ・トラッドに雪崩れ込む「Lifting You」など、一曲の中にさまざまなジャンルが詰め込まれている。

さらに三つ目のポイントは、社会的なメッセージを込めた歌詞だ。グラミー賞授賞式で「ハッピー」をパフォーマンスした時にも人種差別反対の意思を示していた彼だけあって、分断が進む今のアメリカ社会へ警鐘を鳴らすような言葉が歌われている。

象徴的な一曲はケンドリック・ラマーがゲスト参加した「Don't Don't Do It !」だろう。この曲のテーマは、2016年にノースカロライナ州シャーロットで黒人男性が警察官に殺害された事件。ファンキーなビート、陽気なメロディとシリアスな言葉のミスマッチがとても印象に残る。

他にもスピリチュアルなメッセージ性に満ちた「ESP」や「Lightning Fire Magic Prayer」など、社会を変革しようという今の彼の使命感を感じさせる楽曲が多い。2018年の音楽シーンの先行きも左右しそうな、大きなインパクトを持つ新作だ。
 

『ノー_ワン・エヴァー・リアリー・ダイズ』
ファレル・ウィリアムス率いるグループの約7年ぶり新作は、グループ名の由来となった言葉をタイトルに冠した一枚。リアーナやエド・シーラン、ケンドリック・ラマーなど豪華なゲスト陣もさることながら、めまぐるしく曲調がうつりかわり不思議な中毒性を感じさせるサウンド、人種差別などシリアスなテーマを描く社会的なメッセージに注目だ。

 

PROFILE

柴那典 Tomonori Shiba
音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。著書に『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)ほか。共著の『渋谷音楽図鑑』(太田出版)が好評発売中。

 
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●情報は、FRaU2018年2月号発売時点のものです。

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