いい女になりたい。でも、なにをもっていい女とするかはけっこう難しい。見た目も大事なのだろうが、歳を取るにつれて「中身も大事だろ」と思うようになってきた。しかしわたしの中身ときたら、長年ほったらかしにされ、曇ったり、ヒビが入ったり……早急にメンテナンスが必要な状況である。

というわけで、この連載では、マンガ・映画・小説などに登場するいい女について考察していく、憧れすぎて自分の中に「飼いたい」と思ってしまうようないい女たちから、大いに学ぼうじゃないか。

 

今月のいい女:
色気のある女

いい女になくてはならないもの、それは色気である。色気のある女は、それだけでほぼ自動的に「いい女フォルダ」に振り分けられる。しかし、色気ほど難しいものはない。わたしが色気のある女たちに聞きたいのは、あれをいつ手に入れたのか、そして、どうやってコントロールしてるのかということだ。生まれてから今日に至るまで、色気とは無縁の人生を送る者からすれば、色気の世界は謎だらけである。

色気を手に入れるだけでも大変なのに、アラサー、アラフォーと年齢が上がってくるにつれ、色気ばかりで知性がないと、イタいとか、下品とか思われてしまう。色気は本当に厄介だ。若い頃だったら、露出の多い服を着れば、即席の色気ぐらいは出せたけれど、大人になったら、それだけじゃダメなのである。

壇蜜や橋本マナミの言動を見ていると、扇情的であることと知性的であることのバランスにどれほど心を砕いているのかがよくわかる。「大人の色香に必要なのはちょっぴりの訳アリ感と適度な不幸」とは壇蜜の言だが、大人になったら色気だけあったってしょうがないんですよ、ということを、これほど的確に語られてしまうと、もう、ほんとに、参りましたとしか言いようがない。

色気の蛇口が完全にぶっ壊れている叶姉妹も、コミケ参加時の神対応を見ればわかるように、大変理知的であり、やはり色気と知性はきちんと組み合わせてなんぼなのだと思わされる……うう、素人が現世でマスターするのは無理かもしれないぞこれは。

もし、魔法の力かなにかで、色気のある女にしてやると言われたら、『紅の豚』のジーナになりたい。きれいで、歌が上手くて、客の心を摑んで放さない女。物腰は柔らかだが、自分の意志はちゃんと持っているし、いざというときの機転も見事だ。彼女に会えばみんなメロメロになってしまうが、死別した夫を想い続ける彼女は、いつだって「ふれなばおちん」という風情で、しかし男を簡単には近づけない。ああ、これぞ最高のいい女ではないのか。

アニメだったら峰不二子も色気のある女の代表格だが、こちらは「ふれなばおちん」というよりは、男を振り回す小悪魔系。元気いっぱいで、向こう見ずで、だけど憎めないかわい子ちゃん……アラフォーから目指すのは、ちょっと遅すぎるかも。

おそらく色気には「陰と陽」があって、おそらく大人の女が目指すべきは、不二子ちゃん的な陽の色気ではなく、ジーナ的な陰の色気なのである。

2次元キャラの例ばかり出したが、3次元なら、演歌歌手の藤あや子だ。わたしはNHK紅白歌合戦の藤あや子を見て、1年分の色気を補給している。モニター越しであの色気だ。生で見たらどうなってしまうのか。男のみならず、女をもぽーっとさせる色気……恐ろしい、恐ろしいけれど、目が離せない。

 
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PROFILE

トミヤマユキコさん
1979年生まれ。早稲田大学文化構想学部助教。少女漫画を中心としたカルチャー関連の講義、研究を行う。また、様々な媒体でコラムや評論も執筆中。「自分単体で色気を出すのは諦め、香水に頼ろうと思い立ったのですが、自分に似合う香りとは一体……。洋服以上に難しい! みんなよく選べてるな! 尊敬します!」

 
●情報は、FRaU2018年2月号発売時点のものです。

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