日本のポップスに新たなモードをもたらす小袋成彬の才能。宇多田ヒカルが使命感を感じ、プロデュースを手掛けたニューカマーとは。

 

J-POPの新たなモードを担う
小袋成彬の才能

画像: J-POPの新たなモードを担う 小袋成彬の才能

鮮烈な才能の登場だ。4月25日にファーストアルバム『分離派の夏』でメジャーデビューを果たすシンガー、小袋成彬(おぶくろなりあき)。1月17日にはアルバム収録曲「Lonely One feat.宇多田ヒカル」の先行ストリーミング配信がスタートし、圧倒的な歌唱力と洗練された音楽性、宇多田ヒカルとの息を呑むようなハーモニーで大きな話題を巻き起こしている。

小袋成彬は1991年4月30日生まれの26歳。大学時代にR&BユニットN.O.R.K.で音楽活動をスタートした彼は、ユニット解散後には水曜日のカンパネラや柴咲コウのプロデュース、インディーレーベルTokyo Recordingsの主宰など、どちらかと言えば裏方としての活動に徹していた。そんな彼がシンガーソングライターとして自らの芸術性を全面的に開花させる作品制作に取り組むようになったきっかけは、宇多田ヒカルとの出会いだった。

2016年に発売された宇多田ヒカルのアルバム『Fantôme』の収録曲「ともだち」でゲストボーカリストとして共演した彼。そのことをきっかけに、宇多田ヒカルはそのソロデビューアルバムのプロデュースを手掛けることを決める。自身初となる新人アーティストのプロデュースについて彼女は「この人の声を世に送り出す手助けをしなきゃいけない——そんな使命感を感じさせてくれるアーティストをずっと待っていました」とコメントしている。

先行配信リリースされた「Lonely One feat.宇多田ヒカル」は、スローテンポなオルタナティブR&Bの一曲。最小限のビートと歌から始まった楽曲は、ストリングスやホルンが徐々に重なりドラマティックに展開する。《僕らおおかみ 荒野でひとり》という歌詞にも、響き合う二人のハーモニーにも、思わずゾクッとさせられる。

先日、都内某所で開催されたコンベンションライブにも足を運んだが、そこで彼が見せたのも新人アーティストとは思えないほどの堂々たるパフォーマンスだった。2人のサポートミュージシャンを従えたステージは、音数の少ないシンプルなもの。それだけに、彼の持つ圧倒的な歌声の表現力と、研ぎ澄まされた美意識が伝わってきた。

フランク・オーシャンやザ・ウィークエンドなど、海外の最先端のアーティストたちと当たり前のように同時代的な感性を共有しつつ、日本語の情緒と芸術性を追求しているのが小袋成彬というシンガーだ。おそらく2018年に生まれる日本のポップスの新たなモードを担う存在になるだろう。
 

『Lonely One feat.宇多田ヒカル』
4月25日にリリースされるファースト・アルバム『分離派の夏』からの先行配信シングル。アルバム全編のプロデュースを担当した宇多田ヒカルがこの曲ではフィーチャリングにも参加、研ぎ澄まされた美意識を持つ楽曲に仕上がっている。スローテンポかつ抑制された曲調に、独特の息遣いに色気を感じさせる小袋成彬の歌声が映える。宇多田ヒカルとのハーモニーも抜群だ。

 

PROFILE

柴那典 Tomonori Shiba
音楽ジャーナリスト。ロッキング・オン社を経て独立。著書に『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)ほか。共著の『渋谷音楽図鑑』(太田出版)が好評発売中。

 

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●情報は、FRaU2018年3月号発売時点のものです。

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