美容業界でも数少ない男性編集・美容家の3人が集まって最新コスメをあれこれ語る新企画。化粧品を科学で斬るビューティサイエンティスト・岡部美代治さん、男性美容研究家の藤村岳さん、美容業界ン十年のFRaUプロデューサーの関龍彦が、スキンケアからボディ、フレグランス、メイクアイテムまで、経験と知識をもとに、これからの美容業界までを占う発表会レポート。

3回目のテーマは……今年2月にデビューしたメンズコスメ「BOTCHAN」です。

 

今年はメンズコスメの当たり年!?
「BOTCHAN」を斬る

画像1: 今年はメンズコスメの当たり年!? 「BOTCHAN」を斬る

:“繊細系男子” 向けメンズライン「BOTCHAN(ボッチャン)」がデビューすること、縁あって、けっこう前から聞いていて……「できるだけ早く岳くんに商品見てもらうといいですよ!」と、メーカー側についお節介しちゃった(笑)。実際に見て、岳くんどう思った?

藤村:「カラフルだなぁ」が第一印象でしたね。メンズモノはモノトーンかブルー、シルバーと相場が決まっていますから。
 

画像2: 今年はメンズコスメの当たり年!? 「BOTCHAN」を斬る

:アイテムのキーカラーはそれぞれだけど、並べてみると、なんとなくレインボーカラーに見える。これはLGBTフレンドリーであることのメッセージになってるんだね。

藤村:メンズコスメ市場は小さいけれど、確実に年々、右肩上がりの成長を遂げています。それに呼応するように製品の多様性が出てきました。肌補正クリーム「ボッチャン スキンパーフェクター マット」が出色の出来。クリニーク メンにもスキントーンを調整するアイテムがありますが、これもなかなか野心的なアイテムですね。

テカリ、毛穴悩みに対応した補正クリーム。BOCHAN SKIN PERFECTOR -MATTE- メンズ肌補クリーム 20g ¥2300/アンド・コスメ


:市場は今後、どうなっていくと思う?

藤村:今までは美意識の高い男性は女性モノをあえて使っている人もいましたが、男性モノでもよければ女性が使うなどボーダレス化してきているのが現状。だからこのブランドは女性ファンがつきそうな予感がしています。

岡部:僕も岳くんの意見に賛成です。ユニセックス、ジェンダーレスという分けがありましたが、もうそんなに気にしていない。一昨年から各社からメンズスキンケアが出ていますが、今年のカネボウの「リサージメン」の新製品は感触も効果実感もぴったりでした。この感触は女性も好きな人がいるのではないかと思います。

:これまでメンズコスメ市場の成長を遅らせたのは、男性側の「美容を頑張るのは “女性みたい” と言われそうで恥ずかしい」という躊躇と、女性側の「私たちの聖域に入らないで!」的なブロックが、その原因にあったのかもしれない。でも、最近は一緒に楽しむ時代になってきた気がする。ビューティが男女のコミュニケーションツールになっていくんじゃないかな。

藤村:ボクがこういうことをちょっとアレなんですけど、そろそろジェンダーに振り回されるのって終わりかな、とも思います。その先駆けがこのボッチャンのようなもの。
 

:そうだよね! ビューティは “自由” じゃないと、つまらない! 自由、おもしろさでいうと、発表会は2日にわたってだったね。初日の表参道のハンバーガーショップのプレス発表会のほうに行ったけど、2日目の歌舞伎町のバーにも行きたかったな。

リリースには書かれていないけど、発売元が墓石などを扱う石材関連というのも面白い! 本業は、だいぶ “かたい” のに、よくぞ、コスメのような “柔らかい” ジャンルに進出したものだな、と。

岡部:ハハハ! 情報検索してみると、楽しそうな体験型のイベントでしたね。レモンサワー専門店「the OPEN BOOK」へ行ってみたかったなあ。作家の田中小実昌さんの翻訳本、高校生の頃、よく読んでいました。

藤村:実はそこのバーは個人的に好きな店で、ちょこちょこ行ってます(笑)。

 

2018年の注目キーワード
「光老化」、読めますか?

画像1: 2018年の注目キーワード 「光老化」、読めますか?

:TRUNK(HOTEL)で開催されたサンスターの発表会は、なんとランチタイムを挟んでの本格的な会でしたね。第一部には、岡部さんが懇意にされているという川島眞先生(東京女子医大皮膚科学教室教授)が登壇しましたね! 

権威のある大学教授のスピーチって、聞いていてシンドイことが多いけど、川島先生の話は、テンポも良く、すごくわかりやすかった。このジャンルの専門家として「メディアにちゃんと理解させたい!」という熱意を持って話されるから、こちらもググッと引き込まれます。

岡部:今回はどんな話をするのか関心がありました。シワ改善の医薬部外品の次は何が来るのか、そのキーワードがきっとあると思っていました。案の定、光加齢の話がしっかり出ましたね。

:川島先生のお話の中心になった「光老化」。読み方の正解は「ひかりろうか」。「こうろうか」ではないんですよ! 太陽光を浴びることによる老化で、肌のくすみ、しわ、たるみなどとして現れるだけでなく、皮膚がんを生じさせることも!

太陽光線には紫外線(UV)、可視光線、赤外線(IR)の3種類があって、光老化にもっとも関係するのは紫外線だけど、最近の研究で、ブルーライトや近赤外線(NIR)にも害があることがわかってきたんだってね。

岡部:実は過去に光加齢を防ぐという化粧品の効能を申請したけど、承認されなかったという経緯がありました。10年以上前ですが、その時は「乾燥による小ジワを目立たなくする」という効能の方だけ承認されたという話です。私も光加齢を防ぐ効果は化粧品で承認されるべき機能だと思っているので、川島先生の気持ちはよく解ります。
 

画像2: 2018年の注目キーワード 「光老化」、読めますか?

:近赤外線(NIR)については、自分も詳しくなかったけど、真皮層に65%、皮下組織に17%も届いてしまうというから、オソロシイですよね! 第二部で発表された「サンスター エクイタンス 光プロテクション」のように、SPFやPA以外に、近赤外線(NIR)も防ぐ効果を持っているかどうかが、UVケアアイテムを選ぶ基準になっていきそうですね。

 

過剰な演出はかえってマイナス!?
何をどう伝えるかは大事

:「Kiehl’s1851(キールズ)」も、会場はTRUNK(HOTEL)でしたね。コスメ発表会の会場って明らかに流行があるけど、今はココ、流行ってるよね。ラグジュアリー系だと、最近アンダーズ東京が多いかな。
 

画像1: 過剰な演出はかえってマイナス!? 何をどう伝えるかは大事

今回は主力アイテムであるトナー、オイル、クリームのリ・プロモーションという位置付けの発表会でしたね。肌トラブルに悩む女性、3アイテムのレスキュー隊を、なぜか外国人スタッフが演じる芝居仕立て……。この演出には、岡部さん、ご意見がありそうで……。

岡部:新製品発表会でおこなわれる各種のパフォーマンスは好きです。気分転換にもなるし、企業が出席者に何を一番印象に残したいか、またその理由を考えると、業界動向を探る良いヒントが得られます。ただ経費がかかることと、演出を考える人々は大変だと思いますが、それに見合う、いや、それ以上の効果を出せば良いのではと思います。
 

画像2: 過剰な演出はかえってマイナス!? 何をどう伝えるかは大事

:確かに。具体的に「これは!」というイベントはあった?

岡部:かつてのロクシタングループのパフォーマンスは商品コンセプトや企業の歴史背景が強く、印象に残っています。今回のキールズはちょっと外しましたね。環境ストレスによる肌トラブルをわかりやすくお芝居で見せてくれたのですが、演技やシナリオ構成が素人っぽい内容でした。次は、もっと驚かせて記憶に残るようなパフォーマンスを期待します。
 

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藤村:キールズらしい演出といえばそうだったような。事業部長のキム・ジョンハ氏の挨拶から始まって、真面目な部分と小芝居のメリハリが悪くなかったと思いますよ。
 

画像4: 過剰な演出はかえってマイナス!? 何をどう伝えるかは大事

:既存品以外では、ホワイトニングラインの新商品の発表もあったね。

岡部:DSクリアリーホワイトシリーズのスクラブ洗顔料と美白化粧水でしたね。この化粧水の美白有効成分は昨年発売された美容液と同じく、「3-0-エチルアスコルビン酸」でした。最近では、採用する企業があまり多くなく、この成分を選んだあたりはアポセカリーらしいキールズのこだわり選択と評価しています。
 

画像5: 過剰な演出はかえってマイナス!? 何をどう伝えるかは大事

藤村:花粉症など敏感肌に振れる季節に既存の商品を思い出してもらうというのはよいアイデアでした。「キールズ ハーバル トナー CL アルコールフリー」は名品だけど、最近ちょっと忘れていましたから。

 

先端技術が詰まった
進化系コスメも要チェック

画像1: 先端技術が詰まった 進化系コスメも要チェック

藤村:ほかに記憶に残っているのは、アイスランド大使館で行われたバイオエフェクト。とある有名な美容ジャーナリストの方は、間違えてアイルランド大使館に行ってしまったとか(笑)。それはさておき、アイスランドの30代以上の女性の4人に1人が使っているとして、彼の国では大人気なんですよ。

:4人に1人? 日本ではあり得ない数字だね。
 

画像2: 先端技術が詰まった 進化系コスメも要チェック

藤村:今回は、2ステップの日中用美容液の「ビーアイオー 2A デイリーセラム」が新発売でして、相変わらずパワフルなアイテム。今までは植物由来のEGFを含む厳選された7種類を配合した夜用の「バイオエフェクト セラム」がメインでしたから、日中用アイテムの登場はファンにはうれしいはず。

:確かに。今までってさ、日中の肌ダメージを夜に修復する、というような夜ケア商品が多かったけど、最近は、日中と夜と働きを変えて “24時間でアプローチする” お手入れ法も増えてきたよね。今回の新商品、具体的にどんな商品なの?

藤村:オオムギ由来のEGFとヒアルロン酸の1液と、オオムギ由来の2Acidsで 都会の大気汚染物質から肌を守る2液で成り立っています。とてもパワフルなので「これらを使っている間はほかのメーカーの化粧品は使わないで」と言っているのが、印象的です。

:それはすごいなーーー。

岡部:バイオテクノロジーの中でも遺伝子組み換え技術は今後も有望で、オオムギにEGFの遺伝子を組み込んだものですね。分子としては動物由来のEGFと差が無く、効果も差が無いし、植物イメージも良いでしょう。

ただ、オーガニック系の人々からすると、遺伝子組み換え技術に嫌悪感があるのも事実なので、今後の普及に着目しています。サイエンティストの立場からすると遺伝子組み換え技術は管理さえしっかりしていれば問題ないと思っています。

藤村:バイオエフェクトの開発者の1人でもあるビョルン・オルヴァル博士の説明もわかりやすく、スライドで見たEGFのすごさに驚きました。ま、写真は撮れないんですけどね。

岡部:個人的になりますが、司会担当とPR担当の女性はかつて私が働いていた化粧品会社の後輩たちです。ハツラツと仕事していたのをみて、とってもうれしかったです。これからも頑張って欲しいですね。

 

PROFILE

画像: PROFILE

岡部美代治 Miyoji Okabe
ビューティサイエンティスト。(株)コーセーの研究所を経て(株)アルビオンにて商品開発、マーケティングなどを担当。2008年独立し、現在は美容コンサルタントとして活動。商品開発、美容教育アドバイスなどを行うほか、講演・セミナーの依頼や雑誌取材なども多い。

藤村岳 Gaku Fujimura
男性美容研究家。編集者を経て独立。シェービングを中心に独自の理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動。テレビ出演のほか、講演、コスメ開発やマーケティングなども行う。スパ・エステについても造詣が深い。著書に『一流の男はなぜ爪を手入れするのか?』がある。サイトは、男性美容研究所。男性美容研究所:http://danbiken.net/

関龍彦 Tatsuhiko Seki
FRaU プロデューサー。講談社入社後、『ViVi』『FRaU』の編集者を経て『VOCE』創刊のため新雑誌準備室へ。2004年より6年間、同誌編集長。2010年より4年間、『FRaU』編集長。2018年より現職。ビューティ界の新サービス「BE-BANK」エグゼクティブ・プロデューサーも務める。

 
Illustration:YUGO. Composition:Mayumi Hasegawa

 

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