毎日、仕事に家庭に忙殺されている寺島さんの旅についてのエピソードは、とても日本を代表する女優とは思えないドタバタ感。ロマンチストのご主人は、“思い出作り” にこだわって……。

 

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今は、人生の旅の第四段階

――FRaUの一貫したテーマは “旅するように、暮らしたい” です。お忙しい中、たまには息抜きの旅、なんてことはできているんでしょうか?

寺島:まったくできないんです。この間、連休に白馬のスキーに行きましたけど、それも突然決めたので、帰りの新幹線の指定席が取れなくて。自由席で立って帰ってきました。

――なぜ突然白馬に?

寺島:家族3人で旅行を全くしてなくて、「これじゃ、子供に良くないね」と話をしていたら、突如彼が宿を決めて、「ここに行こう!」って。でも、ずーっとそういう感じの、ノープランの家族なんです。私と同じく、彼も、縁とか勘とかタイミングを信じている人なので、思いつきでやったことを、最後まで全うするのに慣れちゃってるんですね。

あと、主人はロマンチストですね。それは、世の中の男性全員に、もしかしたら言えることかもしれないですけど。この間、私が映画のプロモーションで、弾丸でロスに行くことになったとき、子供を日本に置いても、自分はついていくっていってきかなかなかったんです。あれには参りました。

――それはどうして?

寺島:スケジュールも弾丸だし、向こうに行っても、彼と一緒にいる時間なんかないんです。疲れるし、きっと文句も言うだろうし、私もそんなバタバタの中、愚痴を聞いてあげられる心の余裕もないだろうし、彼のためを思って、「やめたほうがいい」って言ってるのに、彼は、「そこに行くことが大事。忙しい中2人でロスの空港に降り立つだけでも、2人にとってはプレシャスな思い出になるから」って。それもなるほどなと思うけれど、お互い、大切にしているところが違うので、旅に関しては歩み寄るのがなかなか難しかったりします。
 

画像: ワンピース¥55000/ザ ダラス(シック)☎ 03-5464-6061 ピアス(右耳)¥7900、ピアス(左耳)¥8900/ともにステラハリウッド ☎ 03-6805-0390 リング¥28500/CALL MOON Mail:hello@call-moon.com

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――ただ、“旅するように、暮らしたい” というテーマに重ねて見ると、寺島さんの人生自体が、旅のようです。

寺島:そのことは、本当に最近実感していますね。大学生の時に文学座に入って、演技の勉強をしているうち、28歳で車谷長吉さんの「赤目四十八瀧心中未遂」と出会って、荒戸源次郎監督に手紙を書いて、役をゲットしたのが女優としての第一期。これは、私の一人旅だったと思うんです。そこから結婚し、子供が産まれるまでが第二期。自分ひとりじゃなく、家族と一緒に旅をすることで、色々な意味で、自分の内面が豊かになった。

次に、「キャタピラー」という作品に出会って、海外で賞をいただけた。次は、「オー・ルーシー!」にしても、来年パリで上演される舞台の「海辺のカフカ」にしても、自分の出演作品を海外へ持っていくことができるようになって、それが私の旅の第四期のような気がしています。

今は、海外でもっと積極的に活動していくために、家族でパリに住んじゃおうか、なんてプランも浮上したりして(笑)。仕事があって、家庭があって、豊かな人間になるための学びがあって、色々なことに疲弊しながらも、まだなんとか対応できている。やることがいっぱいあるということはつまり充実していることだから、今の状況は、本当に有り難いなと思います。

 
――伝統芸能の一家に育っていて、歌舞伎に対する愛もある寺島さんが、でも、伝統や慣習に捉われずに、世界に進出していく姿を見るのは、楽しみですし、同時にとても頼もしいです。

寺島:でも、主人と出会わなかったら、もっと海外に出て行こうとか、もっと世界を知ろうとは思わなかったと思います。私は日本という国が大好きだし、女優としても、「ここでトップになりたい」と20代の頃までは思っていました。外国の人にどう思われようが何を言われようがどうでもよくて、日本でよければいいんじゃないか、って。

でも、世界を知れば知るほど、日本の閉鎖性とか、若者文化ばかりを有り難がる風潮とか、脈々と受け継がれ続ける男尊女卑とか、そういうところが、日本の豊かさを阻んでしまっていることに気づかされるんです。

一度、世界を知ってしまったからには、せっかくなら、世界が求める芝居の基準をクリアできる自分でありたい。世界に出て行ける自分でありたい。ハリウッド映画で日本人の役を中国人にやっているのは悔しいじゃないですか。「日本にも、こういう役者はいるんですよ」というアピールをしていかなきゃと思うんです。

 

▼寺島しのぶインタビュー
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PROFILE

寺島しのぶ Shinobu Terajima
1972年生まれ。京都市出身。青山学院大学在学中の1992年、文学座に入団。2003年公開の映画「赤目四十八瀧心中未遂事件」で第27回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、「ヴァイブレータ」で東京国際映画祭女優賞を受賞。2007年、フランス人アートディレクターと結婚。2012年に一男をもうける。
2010年「キャタピラー」で世界三大映画祭の一つベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)受賞。主演映画「オー・ルーシー!」は4月28日ユーロスペース、テアトル新宿他にてロードショー。2019年2月には、パリのコリーヌ劇場で舞台「海辺のカフカ」が上演予定。

 

INFORMATION

舞台「ヘッダ・ガブラー」

画像: 舞台「ヘッダ・ガブラー」

時は19世紀末。高名な将軍の娘ヘッダは、いつも男たちにあがめられる存在だった。頼りの父親が世を去り、ヘッダは、将来を嘱望された学者と結婚する。長い新婚旅行から帰ったとき、ヘッダは既に結婚生活に退屈していた。懇意にしていた判事の誘惑を、かつての恋人との再会など、次々に起こる出来事の中で選んだ衝撃的な結末とは……? ヘンリック・イプセンの代表作を、栗山民也が演出。出演は寺島しのぶ、小日向文世、池田成志、水野美紀、段田安則ほか。
4月7日(土)~30日(月・祝)Bunkamuraシアターコクーン
http://www.siscompany.com/hedda/


Photo:Akina Okada Styling:Ayako Nakai(crêpe) Hair&Make-up:NaokiKatagiri(EFFECTOR) Interview&Text:Yoko Kikuchi

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