スポーツのあと、そのままカフェやショッピングに。“アスレジャー” という言葉が定着する前から、西海岸でよく目にするスタイル。8人の女性に出会ってわかったのは、彼女たちは呼吸するようにスポーツをし、自分なりの生活ペースでスポーツと生きているということ。そんな彼女たちの日常はスポーツガールのお手本そのものだ。

 

タイニーホームでキャニオン暮らし

jewelry designer
Katelin Gibbs ケイトリン・ギブス

ロサンゼルスの西側の地形を特徴づける、サンタモニカ山脈にはいくつものキャニオン(峡谷)が走っている。その一つ、トパンガ・キャニオンに暮らすケイトリンは、白と紺のツートンカラーの小さな家に私たちを迎えてくれた。キャニオン、といって想像する大きな樫の木の茂みはここにはなく、山の中腹の少しひらけた場所でセージなどの低木がもしゃもしゃと生え、暖かな夕日が美しく家を照らし出す。

「このタイニーホームは、夫と二人で1年半かけて作ったんです。今まで作ったものの中で一番大変だったけれど、大切なものを一つあげるとしたら、この家、と胸を張って言いたいですね」

道路交通規則で移動可能と定められたサイズに則って作られた家は、小さいながらも機能的に作られ、白を基調とした室内にはキッチン、バス、トイレも完備している。今では猫2匹と暮らすこの家を、トラックで引いてこの土地に移したのがちょうど2年前。家の前にデッキを作り、屋外シャワーだって設置した。

「家の中にもバスタブがありますが、天気のいい日は友人のデザインしたビキニをつけて、風景に囲まれてシャワーを浴びることも多いんです」

見渡すと、サーフボードや使い込まれたハイキングブーツがデッキを賑わせ、二人のアクティブな生活を示唆している。戸外のピクニックテーブルでの夕食会など、屋外空間も最大限に利用しての暮らしはずっと夢見て来た理想に近い、とケイトリンは話す。

 

ものづくりの姿勢と
マテリアルとしての体

画像1: ものづくりの姿勢と マテリアルとしての体

かくいう彼女はジュエリーデザイナー。もともとは美大で絵画の勉強をしていたそうだが、専攻外でたまたま受講したジュエリー制作のクラスで使ったツールやその制作工程に惚れ込んで、ここまで迷わず進んで来た。工房で、トーチや木槌を使って繊細な細工のイヤリングや指輪を一つ一つ手で打ち出して作っている。

「デザインするだけではなく、実際に手を使って作ることに一番興味があったんです。素材とその質感、そして手の動きが反映されるフォルムが私のもの作りの根幹です。日々の体調や体が欲していることに耳を傾けるよう心がけているのも、素材の美しさを引き出そうとするジュエリー作りに通じるものがあるからかも。体は、人生における様々な体験を作り出す、最も大切なマテリアルだと思っています」
 

画像2: ものづくりの姿勢と マテリアルとしての体

この日はタンクトップのようなトップスに、ハイウェストのヴィンテージリーバイスをはいていたケイトリン。普段は着心地のいいリネン素材の服が多いというが、体のラインを意識する服も好きだという。

 

身に付けるものにはどれも物語がある

画像1: 身に付けるものにはどれも物語がある

毎日短くても何かしらの運動をするというケイトリンの家からは、トパンガ州立公園へつながるトレイルに歩いて行くことができる。気分によってここでトレイルランしたり、トレッキングをしてから一日を始めるという彼女は、広大な風景に身を置くことでジュエリー作りに必要な精密さと集中力を、バランスよく培っているという。

「頭で考えているだけではうまく発散できないことも、歩きながら、走りながらだと少しずつリリースできる。それに、トレイルを歩いていると、毎日何かしらの新しい発見があります。それが思いもかけずデザインに反映してきたりすることも」
 

画像2: 身に付けるものにはどれも物語がある

いつも日除け用にかぶるというこのキャップにはアメリカ国有林の山火事防止キャンペーンのマスコット、スモーキー・ベアが刺繡され、それはバックパック旅行でよく行くシエラ山脈を思い出させてくれる。いろんな種類のハチドリが描かれたTシャツは、物事を考え出すといてもたってもいられなくなるというケイトリンを「ハチドリのよう」とからかう夫からのプレゼントなのだそう。

「地球へのインパクトに配慮してもの作りをしている会社、パタゴニアの姿勢には惹かれます」

というこのブランドのショーツには白ペンキが飛び散り、家作りの記憶も刻まれている。彼女の身に着けるものはどれも記憶や物語の気配を帯びているのだ。

Katelin Gibbs
http://www.katelingibbs.com/

 
●情報は、FRaU2018年5月号発売時点のものです。
Photo:Zen Sekizawa Coordinate&Text:Aya Muto

 

▼こちらの記事もチェック!

This article is a sponsored article by
''.