船に揺られること24時間。そこには、まだ見ぬ日本の楽園が待っています。いざ、美しい自然に還る小笠原、神秘の5泊6日へ。

 

限られた日にしか叶わない
条件付きの船旅。

画像: 父島の二見港に停泊する「おが丸」。8階建てで、近くで見ると迫力がある。

父島の二見港に停泊する「おが丸」。8階建てで、近くで見ると迫力がある。

竹芝客船ターミナルから定期船「おが丸」こと「おがさわら丸」に乗り込む。長い船旅のはじまり。360度見渡す限りの海を、ひたすら南へ。竹芝客船ターミナルを出港してから、定期船「おがさわら丸」に揺られること24時間。目的地の小笠原諸島は、時間でみると日本国内で最も “遠い”、さらに “行きづらい” 場所だ。
 

おが丸は小笠原諸島と本島を繋ぐ唯一の手段。通常(※)は概ね週に1度しか運航しないため、タイミングが合わなければ訪れるチャンスがない場所なのだ。
(※)繁忙期を除く
 

画像: 境浦海岸には、太平洋戦争時に座礁した貨物船「濱江丸」が今も沈んでいる。

境浦海岸には、太平洋戦争時に座礁した貨物船「濱江丸」が今も沈んでいる。

小笠原諸島の玄関口・父島。大村エリアにはさまざまなレストランや店が立ち並ぶ。島内に点在するビーチは、それぞれが壮大でユニークな遊び場。上陸した父島は、深く濃く透明な海に囲まれた小笠原諸島30余りの島の一つ。大陸と一度も繋がったことのない孤高の島には独自の生態系が今もなお残る。その希少性が評価され、2011年に世界自然遺産に登録された。父島には約2000人が暮らしているが、港周辺の集落を除けばほとんどが自然に覆われている。そんな島を隅々まで味わうためにまずは村のレンタカー屋へ。年季の入った軽自動車でドライブに出かけた。

 
LUNCH SPOT

TETSUYA KITCHEN

画像1: LUNCH SPOT

二見港の目の前にあるカフェレストラン。チキンスープがベースの洋風すいとんのような、島の郷土料理「ダンプレン」は必食。アイスクリームやドリンクメニューも豊富。

TETSUYA KITCHEN
東京都小笠原村父島字東町(番地なし)
☎04998-2-2800
営業時間:10:30~15:30
定休日:不定
https://www.tetuyabonin.com/

 
パパスアイランドリゾート HALE

画像2: LUNCH SPOT

水色と白を基調にした、オープンテラスのある爽やかなカフェ。ダイス状にカットされた島の新鮮な魚が乗った海鮮丼は、見た目にも鮮やか。島レモンを使ったレモネードもおすすめ。

パパスアイランドリゾート HALE
東京都小笠原村父島字東町(番地なし) 
☎04998-2-2265
営業時間:9:00~日没(ランチ11:00~13:30)
定休日:おが丸出港翌日
http://papasds.com/

 
Auberge Sato

画像3: LUNCH SPOT

島の食材を使った料理が評判のレストラン。ランチにはパスタのセットなどがある。仕入れによってメニューは変わるが、島の甘いトマトを使った冷製カッペリーニは暑い日に最高。

Auberge Sato
東京都小笠原村父島字東町(番地なし)
☎04998-2-2136
営業時間:11:00~14:00(船の出港日のみ)、18:00~
定休日:不定
http://www.auberugesato.com/

 

世界遺産の大自然を絶景ハントへ。

母島の氏神様、月ヶ岡神社の周りはまるでジャングル。木々には不思議な形をした葉が茂っている。

はるばる来た小笠原。せっかくなら、ほかの島々に足を延ばしてみるのも楽しみ方のひとつ。父島から「ははじま丸」で約2時間の母島は、小笠原諸島のもうひとつの有人島だ。母島最高峰463mの乳房山を中心に、急峻な山々が連なっている。トレッキングが人気のアクティビティと聞いてはいたが、父島より更に静かなビーチや、木々が自由に生い茂る森の中に行って、ただただのんびりと癒やしの時間を過ごした。
 

ガラ空きの一本道を成り行きに任せ走っていると、おもしろいほどコンスタントに絶景が目に飛び込んでくる。個性的なビーチの数々に、展望台からの夕日など、いくつもの非日常な光景に無意識的に感極まりつつ、島をぐるりと一周して日没前の18時に車を返却(ギリギリセーフ)。
 

画像: 夕日の名所で知られるウェザーステーション展望台は、天体観測にも最適の場所。

夕日の名所で知られるウェザーステーション展望台は、天体観測にも最適の場所。

早々に夕食を済ませて時計を見ると、まだ19時過ぎ。自然の摂理に従って暮らす島の夜は、とてもとても早いようだ。窓から夜空を見上げると、星たちが息をのむほど美しかった。行きの船で隣の席に座っていた当地に住むという男性が、「父島は都会、母島は田舎だよ」と言っていたが、半日過ごしたところでその言葉がしっくりきて、なんだかおかしかった。夜がふけてきたら宿を出て、星空観察へ。都市では見えない星座も姿を現している。寝転んでいると、まるで星が降ってくるような気分に。

 
LUNCH SPOT

キャプテンクック母島

画像4: LUNCH SPOT

海を眺めながら食事ができるオープンテラスのあるカフェレストラン。ランチタイムのおすすめは、母島の形に盛られたライスが特徴的な「母じまんカレー」。フルーティで優しい味わい。

キャプテンクック母島
東京都小笠原村母島字静沢 ダイブリゾート母島内
☎090-4730-9928
営業時間:11:00~13:00、17:00~22:00
定休日:月・木
http://captaincook.jp/

 

希少生物が集まる
南島とボニンブルーの海。

画像: 兄島海域公園は、魚や珊瑚が見られる人気スポット。水の透明度がかなり高い。

兄島海域公園は、魚や珊瑚が見られる人気スポット。水の透明度がかなり高い。

もうひとつ欠かせないのが、小笠原諸島で最も美しいといわれる、不思議な地形をした無人島の南島。貴重な生態系を保つため、東京都の認定ガイドと一緒に上陸しなければならない。一日の上陸人数や滞在時間も決められている、まさに条件付きの神秘の島だ。
 

画像: 南島のシンボルで、南島一番の景勝地。手前の扇池ではシュノーケリングもできる。

南島のシンボルで、南島一番の景勝地。手前の扇池ではシュノーケリングもできる。

一番の景勝地は、波の影響で浸食し、穴が空いた岩壁から流れ込んだ海水がエメラルドグリーンに輝く扇型の海岸。目にした瞬間、「天国ってこういうこと?」なんて柄にもないことを口走ってしまうほど、とにかく心を奪われた。
 

南島をあとにしてボートに乗っていると、「前方にミナミハンドウイルカ!」との声。突然の出来事に浮き足立ちながら指示されたほうに目をやると、数頭のイルカが戯れるように泳ぐ愛らしい姿が見えた。そのあとも、並んで泳ぐザトウクジラ親子、カップルのウミガメ、色とりどりの魚たちと、海のスターたちに次々と間近で出合うことができた。船長に「ラッキーな日だ」と言われ、なんだか自分が特別な力をもっているかのような気分に浸ってしまう。これも小笠原マジックなのかも。
 

ありのままの自然と、そこに生きる動物、そして共存する人々。船で24時間の遠い遠い場所に、日本の夢の島があった。夢のような旅を思い返しながら、船の中で一夜を過ごす。

 
LUNCH SPOT

島寿司

画像5: LUNCH SPOT

島の名物で、醤油などで味付けされた白身魚「島寿司」を振る舞う寿司店。わさびではなく洋辛子でいただく。持ち帰りもできるので、出港前に買って船上で食べるのが乙。

島寿司
東京都小笠原村父島字東町(番地なし)
☎04998-2-2541
営業時間:10:00~17:30LO
定休日:不定
http://www.ogasawaramura.com/ad/shimazushi/

 
●情報は、FRaU2018年7月号発売時点のものです。
Photo:Jun Fujiwara Text:Yuuki Yamaguchi

 

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