日本の真ん中に位置する岐阜。その山間の町・飛驒に残された昔ながらの暮らしに触れようと、電車に乗り込み、2泊3日の旅へ出た。

 

険しい山々が守る
昔ながらの山間の暮らし。

画像: 白川郷の小川で泳ぐ鯉の群れ。

白川郷の小川で泳ぐ鯉の群れ。

画像: 手を合わせたような急勾配の茅葺き屋根の集落が見られる白川郷。現在も民家や宿として使われている。

手を合わせたような急勾配の茅葺き屋根の集落が見られる白川郷。現在も民家や宿として使われている。

槍ヶ岳や穂高連峰をはじめ、3000m級の北アルプスに囲まれた山深い岐阜。都会の喧騒を離れてのんびり時を過ごしたいと向かったのが飛驒だった。高山や古川の町家、白川村の合掌造り、山の恵みを受けた食文化や手仕事、大自然と人びとが織りなす景色。そんな日本の原風景を見つける旅だ。
 

画像: 渓谷を走る列車の車窓。線路のすぐ近くには飛驒川が、豊かな水を湛えて緩やかに流れる。

渓谷を走る列車の車窓。線路のすぐ近くには飛驒川が、豊かな水を湛えて緩やかに流れる。

名古屋から列車に乗り1時間もすると、田園風景が広がる。さらに幾つかのトンネルを抜けると、急に視界が開けて緑に包まれた。渓谷の木々が揺れ、眼下には飛驒川が新緑を川面に映して煌めく。
 

画像: 特急ワイドビューひだに乗って、岐阜の高山駅を目指す。名古屋からは約2時間半、富山からは約1時間半で到着。

特急ワイドビューひだに乗って、岐阜の高山駅を目指す。名古屋からは約2時間半、富山からは約1時間半で到着。

高山駅で下車して中心部へ向かう。山がちな車窓から一転、堅牢な町家群が現れ、豊かな人の営みに随分圧倒されるのだが、飛驒の謂れの一説を聞くと納得する。その昔、王宮を築くために、岐阜の北部から優良な木材を馬に乗せて飛ぶような速さで運んだことから「飛驒」と名付けられたのだとか。
 

画像: 田圃の中にぽつんと一軒佇む、「やわい屋」。野に住む蛙や虫の声を聞きながら、時間を忘れて民藝品と古本に触れることができる。

田圃の中にぽつんと一軒佇む、「やわい屋」。野に住む蛙や虫の声を聞きながら、時間を忘れて民藝品と古本に触れることができる。

昔から飛驒(現在では飛驒市、高山市、下呂市、白川村を含む地方)は人口が少なく、作物も限られていた代わりに、優れた大工を都に送り出していた。いま京都や奈良で見られる美しい木造建築の数々も、飛驒の匠が建てたという。ときに厳しく、ときに恵み多い自然から生まれた飛驒の暮らしから、日本の原風景を探していく。

 

土地のものをいただく

飛驒のおふくろの味

画像: 定食¥1200~

定食¥1200~

母親仕込みという、店主の西村京子さんの郷土料理が楽しめるお店。七輪で炙られた朴葉みそ、味がよく染みたあげ焼き、熱々の漬物ステーキなど、ご飯がすすむ家庭料理が勢揃い。

京や
岐阜県高山市大新町1-77
☎0577-34-7660
営業時間:11:00~22:00
定休日:火・祝
http://www.kyoya-hida.jp/

 
四季折々の山の恵みを堪能

画像: ¥7000~

¥7000~

店主自らが山に入って、春は里山の山菜、夏は脂ののった川魚、秋は香り高いキノコ料理、冬はマタギから仕入れた天然猪のぼたん鍋がいただける。飛驒の旬が楽しめる和食屋。


岐阜県高山市越後町1126-1
☎0577-36-1288
営業時間:12:00~15:00、 17:30~22:00
定休日:不定
http://takayama-sakana.com/


一食に地元の味が詰まった

画像: 在郷料理¥1500~

在郷料理¥1500~

河フグ(なまず)のお刺身、ふきのとうの煮物、笹寿し、天ぷら饅頭など、郷土料理の数々を朴葉に載せた在郷料理が楽しめる。ご飯だけの利用も宿泊もできる。

飛騨ともえホテル
岐阜県飛驒市古川町金森町10-27
☎0577-73-2056
営業時間:11:00~14:00(LO13:40)、18:00~21:00(夜は要予約)
定休日:不定
http://www.tomoe-jp.com/


昔ながらの荏胡麻の五平餅

画像: 五平餅¥250~

五平餅¥250~

寒冷で胡麻が取れないので代用として、昔から荏胡麻が栽培されていた飛驒。その荏胡麻をすりつぶしたタレをかけた五平餅をいただけるのが、こちら。揖斐の紅茶も併せてどうぞ。

福太郎
岐阜県高山市下三之町58
☎0577-35-6777
営業時間:9:00~18:00
定休日:不定
http://fukutarou.com/


飛驒の高級ストリートフード

画像: ¥600~

¥600~

飛騨牛の握りを気軽にその場でオーダーできるお店。肉の旨みが塩や薬味で最大限に引き出されて、肉が舌の上でとろける。店内で食べられるステーキ重、とろすじ丼なども絶品。

梗絲(きょうし)
岐阜県高山市本町2-82
☎0577-37-2039
営業時間:10:00~19:00(LO18:00)
定休日:水(祝日の場合は営業)
http://www.kyoushi.co.jp/

 
主婦の救世主のお惣菜屋さん

画像: ¥60~

¥60~

山本さんが48年間切り盛りする町のお惣菜屋さん。こしあぶらのおひたし、あずきなの天ぷらなど、地元の家庭料理が並ぶ。夕暮れ時は揚げたての唐揚げ目当てに地元の主婦で賑わう。

おかずや山本
岐阜県飛驒市古川町弐之町11-34
☎0577-73-3688
営業時間:9:00~20:00
定休日:日

 
町歩きの休憩にカレーとコーヒーを

画像: カレーライスセット(コーヒーまたはラッシー付き)¥1000~

カレーライスセット(コーヒーまたはラッシー付き)¥1000~

築100年以上の古民家を移築した静かな喫茶店。名物は昔懐かしいカレー。近所の古里精肉店で仕入れた飛騨牛入りで、スプーンで崩れるくらい柔らかく煮込まれて美味。

壱之町珈琲店
岐阜県飛驒市古川町壱之町1-12
☎0577-73-7099
営業時間:10:00~17:00
定休日:火

 

町家や合掌造りの古民家に泊まる

飛驒の木材を使った木工体験も

ゆったり町家ステイを楽しむなら、地元の人の暮らしを垣間見られる古川がおすすめ。FabCafe Hidaでは豪商熊崎邸を改築した宿に泊まれて、町歩きにも便利。敷地内の工房で、木工体験できる宿泊プランもある。
 

画像: 2階が客室に。

2階が客室に。

FabCafe Hida
岐阜県飛驒市古川町弐之町6-17
☎0577-57-7686
営業時間:カフェ10:00~17:00
定休日:不定
¥9800~(1名、1泊朝食付き)
https://fabcafe.com/hida

 
世界文化遺産の村に泊まる

雪を凌ぐための急勾配の屋根が特徴の白川郷。白川郷と富山・五箇山だけ合掌造りが残ったのは、平家の落ち武者が暮らす隠れ里だったからという説も。築320年の源作では、そんな悠久の時に想いを馳せて宿泊できる。
 

画像: 囲炉裏を囲んで食事をいただける。

囲炉裏を囲んで食事をいただける。

源作
岐阜県大野郡白川村荻町221
☎05769-6-1176
定休日:不定
¥9800~(1名、1泊2食付き)
http://shirakawa-go.gr.jp/stay/3110/

 

人の手が生んだものに触れる

時を忘れて、ものに対峙できる家

飛驒生まれの朝倉圭一さんが営む、民藝と古本のお店。1階は岐阜の作家をはじめ、日本全国、アジアから集められた生活雑貨や郷土玩具が並ぶ。2階の屋根裏には古本が置いてあり、畳敷きのスペースで寝転びながら本を選べる。
 

画像: 2階の農具入れを改築した、仄暗い古本スペースも心地よく、つい長居してしまう。

2階の農具入れを改築した、仄暗い古本スペースも心地よく、つい長居してしまう。

やわい屋
岐阜県高山市国府町宇津江1372-2
☎0577-77-9574
営業時間:11:00~17:00
定休日:金・不定
https://yawaiya.amebaownd.com/

 
堅牢な町屋建築を覗くなら

画像: 購買所には、富山・八尾の団扇、静岡の城北工房の風呂敷、岐阜・白川町のお茶など、飛驒や全国の民芸品が充実。

購買所には、富山・八尾の団扇、静岡の城北工房の風呂敷、岐阜・白川町のお茶など、飛驒や全国の民芸品が充実。

飛驒高山の古い町並みのなかでも、ひと際美しい建築が見られるのが御用商人として栄えた旧日下部家。中庭の休憩所ではお茶とお煎餅のおもてなしもあって、町の喧騒から離れてひと休みするのにもおすすめ。
 

画像: 男性的で堅牢な木造建築の日下部民藝館の隣には、繊細で女性的な造りが美しい吉島家住宅が。見比べてみるのも楽しい。

男性的で堅牢な木造建築の日下部民藝館の隣には、繊細で女性的な造りが美しい吉島家住宅が。見比べてみるのも楽しい。

日下部民藝館
岐阜県高山市大新町1-52
☎0577-32-0072
営業時間:9:00~16:30(3~11月)9:00~16:00(12~2月)
定休日:なし(3~11月)・火(12~2月)
入館料:500円
http://www.kusakabe-mingeikan.com/

 
身体に合わせた椅子選びを

着物の帯の高さまでの背もたれがついたユカタチェアは、座ると自然と背筋が伸びて長く座っていても疲れない。¥60000~

腰に負担をかけない身体に優しい椅子・ユカタチェアや、檜を薄くスライスした照明・ヒノキアカリなど、飛驒で製作をつづける清水丈雄さんの家具が並ぶ。ギャラリーで不定期に開催されるジャズライブや講演会も人気。
 

画像: 旅好きな清水さんが、スペインで見た洞窟に着想を得てつくった店内。地元飛驒や国内で採れた木材を使って家具を製作している。

旅好きな清水さんが、スペインで見た洞窟に着想を得てつくった店内。地元飛驒や国内で採れた木材を使って家具を製作している。

gallery cave
岐阜県高山市下岡本町1171-2
☎0577-62-9714
営業時間:予め連絡
定休日:予め連絡
https://cave.daifunka.com/about-1 

 

円空仏に会いに行く

ミニマルな造形美に癒やされて

6本の切れ込みで豊かな表情が滲み出る、三十三観音立像。一本の丸太を縦に4つに割って4体の仏像をつくった合理的なエピソードも。

円空は岐阜で生まれ、生涯に12万体(!)の仏像を人びとに作り与えながら全国行脚したといわれるが、そのうち64体を千光寺で見ることができる。装飾が削ぎ落とされた中に生まれる表情、佇まいが微笑ましい。

千光寺 円空仏寺宝館
岐阜県高山市丹生川町下保1553
☎0577-78-1021
営業時間:9:30~16:30
休館日:円空仏寺宝館 火・12月1日~3月末
円空仏寺宝館 拝観料:¥500
http://senkouji.com/

 

町中の酒造を訪ね歩く

飛驒っ子の地酒に酔いしれて

画像: 写真右から、砂糖を加えず麴の優しい甘みを味わえるあまざけ。真ん中は、淡麗な飲み口の蓬莱。左は、生きたまま酵母を瓶詰めしたにごり酒。1000円~

写真右から、砂糖を加えず麴の優しい甘みを味わえるあまざけ。真ん中は、淡麗な飲み口の蓬莱。左は、生きたまま酵母を瓶詰めしたにごり酒。1000円~

酒米「ひだほまれ」を使った日本酒造りが盛んな飛驒。なかでも渡辺酒造店は明治3年からつづく酒造で、地元民に愛される「蓬莱」を造っている。その場で試飲できるので、お気に入りの一本を見つけて持ち帰ろう。
 

画像: 高山、古川は歩いて回れる距離に酒造があって、はしごできる。

高山、古川は歩いて回れる距離に酒造があって、はしごできる。

渡辺酒造店
岐阜県飛驒市古川町壱之町7-7
☎0120-359-352
営業時間:8:00~17:00
定休日:なし
http://www.sake-hourai.co.jp/

  

太古から変わらない星空を見上げる

人里離れた奥飛驒温泉郷へ

貸し切り野天風呂は座って入れるものと、立ち湯の2つ。朝6時から開いていて、朝湯も気持ちいい。

標高が高く民家も疎らな奥飛驒温泉郷は、熊やカモシカにも遭遇するような山深い場所。それゆえ星空の美しさも格別。野の花山荘は貸し切りの野天風呂もあって温泉に浸かりながら贅沢に星空を一人占めできる。
 

画像: 客室からはクライマー憧れの錫杖岳が望める。和と洋が溶け合った旅館の食事も美味。

客室からはクライマー憧れの錫杖岳が望める。和と洋が溶け合った旅館の食事も美味。

野の花山荘
岐阜県高山市奥飛驒温泉郷新穂高温泉
☎0578-89-0030
定休日:なし
¥14000~(1名、1泊2食付き、2名1室利用時)
http://nono87.jp/

 
●情報は、FRaU2018年7月号発売時点のものです。
Photo:Yoichi Onoda Text:Maki Tsuga

 

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