嵐山の山中、清流のほとりに佇む「星のや京都」は、静かな時間を過ごすのに絶好の場所。デジタル機器を預けて過ごすプランで、心も体もデトックス。

 

携帯を手放すことで知った、
本当に健やかな心と体。

画像: 木々に埋もれるようにしてある星のや京都。建物は1897(明治30)年に創業した「嵐峡舘」をリノベーションしたもの。

木々に埋もれるようにしてある星のや京都。建物は1897(明治30)年に創業した「嵐峡舘」をリノベーションしたもの。

観光客で賑わう渡月橋。舟が船着き場から離れると喧騒は遠のき、見えるのは山々の新緑だけになった。耳に届くのは鳥の声と川音、木々を揺らす風の音だけ。

星のや京都があるのは桂川の清流のほとり。嵐山のランドマークである渡月橋から専用の渡し舟で15分ほど川を遡る。距離的には嵐山の中心地から遠くないというのに、周囲にあるのは山と川だけ。街の光も音も届かない空間だ。
 

この環境だけでも十分デトックスできるのだが、星のや京都では携帯電話などのデジタル機器を預け、完全にデジタルフリーの状態で滞在を楽しむというプランがある。せっかく自然に囲まれた環境に身を置くのだから身も心もとことんデトックスしたい。一念発起の脱デジタル休日である。
 

画像: さらば、マイiPhone……!

さらば、マイiPhone……!

チェックインするとデジタル機器との別れが訪れる。iPhoneとiPad(買ったばかりだから寂しい)を差し出すと、「お預かりいたします」と白木の桐の箱に丁寧に入れられ、美しい真田紐がかけられた(星のやではデジタルデバイスの扱いも超一流なのである)。
 

画像: ライブラリーには川に面したテラスがあり、風を感じながら読書ができる。

ライブラリーには川に面したテラスがあり、風を感じながら読書ができる。

iPhoneが手元にないというのは想像以上に心細い。急を要する連絡事項もないというのに無性にソワソワする。目の前の風景をインスタに上げたい、デジタルデトックス中の気持ちをつぶやきたい(大いなる矛盾)……モヤモヤ。

知らぬ間に脳内に浸透したSNS依存はもはや無意識レベル。このまま放置されたらストレスが溜まるいっぽうなのだけれど、そこはご安心を。SNSへの執着から魂を解放してくれるアクティビティがちゃんと用意されているのだ。
 

画像: 野点あそびも楽しめる (※) 。テラスでお抹茶を点てるのも風流。 (※)1500円/1セット(サービス料10%別)。フロントに申し出れば貸出可能。時間はフロントに問い合わせを。

野点あそびも楽しめる(※)。テラスでお抹茶を点てるのも風流。
(※)1500円/1セット(サービス料10%別)。フロントに申し出れば貸出可能。時間はフロントに問い合わせを。

まずは「聞香(もんこう)」の体験から。聞香とは室町時代から公家や武家の間で嗜まれてきた芸道で、香木の香りに心を傾け、文字通り「香りを聞く」というもの。茶道のように細かい所作があり、心を鎮めて向かい合わなければ、その香りを真に味わうことはできないという。
 

画像: 聞香体験では心の乱れがてきめんに所作の乱れに表れた。精神を集中すると繊細な香りの奥深さがわかってくる。

聞香体験では心の乱れがてきめんに所作の乱れに表れた。精神を集中すると繊細な香りの奥深さがわかってくる。

iPhoneとの別離による動揺が収まらない身としては、聞香炉(ききごうろ、灰と熱した炭もしくは香炭団<こうたどん>が入っている)の上に極小の香木のチップを置く作業すらままならない。「落ち着いて。自分のペースでやれば大丈夫」と先生。もう一度灰を整え、チップを置く板を載せ、香木を置く。手で聞香炉を覆うようにして顔に近づけると、伽羅(きゃら)の奥ゆかしい香りが体に入ってきた。
 

画像: 初めての読経。流れるようなリズムが心地いい。読経の後は茶室に移動し、お茶を飲みながら和尚様の説法を聞く。気さくな和尚様でホッ。

初めての読経。流れるようなリズムが心地いい。読経の後は茶室に移動し、お茶を飲みながら和尚様の説法を聞く。気さくな和尚様でホッ。

翌朝、4時にすっきり目が覚めたのは昨夜受けたマッサージのおかげだろうか。車で20分ほど走り、お寺の朝のお勤めに参加する。和尚様に倣って読経をするのだが、周囲の目が気になって集中できず、ぼそぼそと口を動かす。
 

画像: 禅寺にて朝のお勤め。最初こそ自意識が邪魔したが、みっちり30分大きな声を出すと次第に心が鎮まってきた。

禅寺にて朝のお勤め。最初こそ自意識が邪魔したが、みっちり30分大きな声を出すと次第に心が鎮まってきた。

「腹から声を出す。そうすれば呼吸が整い、心が整う」と和尚様。「心も体も呼吸から」という言葉を信じ、恥を捨てて大声で読経すると、本当だ、妙にスッとした。
 

画像: 川のせせらぎが聞こえる庭で呼吸法の体験。仰向けになると、楓の緑が降ってくるようだった。

川のせせらぎが聞こえる庭で呼吸法の体験。仰向けになると、楓の緑が降ってくるようだった。

その後は宿に戻り、川のほとりの庭で呼吸法の体験。読経と同じく、目一杯空気を吸い込めば自然と大きく息を吐くことになる。その清々しさといったら。深呼吸という行為をどれほど長い間していなかったのかを改めて知る。「気持ちが急いていると心だけでなく筋肉も内臓も硬直するんです。それをほぐすには深呼吸が一番」とマッサージの先生が言っていたが、本当にそうなんだと思う。
 

画像: 客室には習字セットが。「心の奥底にある本音を文字にするとすっきりします」とマッサージの先生に教えてもらい即実践。ネガティブな気持ちも、書くと消えていった。

客室には習字セットが。「心の奥底にある本音を文字にするとすっきりします」とマッサージの先生に教えてもらい即実践。ネガティブな気持ちも、書くと消えていった。

1泊2日の滞在を終え、マイiPhoneが手元に戻った時は正直ほっとした。早速メールをチェック。あ、インスタも見なくては。ふとガラス窓に映った自分を見ると、猫背気味に体を縮こまらせ、文字を追っている。集中のあまり呼吸は浅く、小刻みになっている。

心と体の硬直は自分ではわかりづらい。自分がどれほど縮こまって、視野が狭まり、感性が鈍っているのかも、それがデフォルトとなった日常では知る術がない。星のや京都で過ごした2日間は、そんな凝り固まった心と体を清々しくほぐしてくれたのだ。

星のや京都
京都府京都市西京区嵐山元録山町11-2
☎0570-073-066(星のや統合予約)
料金:脱デジタル滞在・夏¥40000(税・サービス料10%込み、宿泊料・食事代別)
提供期間:2018年6月1日~8月31日 ※1日1組限定、開催日2週間前までに要予約
https://hoshinoya.com/

 
●情報は、FRaU2018年7月号発売時点のものです。
Photo:Kasane Nogawa Text:Yuriko Kobayashi

 

▼こちらの記事もチェック!

This article is a sponsored article by
''.