池脇千鶴さんと、新人俳優の金井浩人さんがダブル主演をつとめた映画『きらきら眼鏡』のテーマは、“大切な人がいなくなる。その時、どう生きるか”――。

15歳でCMデビューし、以来20年に渡り、女優として走り続けてきた池脇さんは、役を生きていないときの姿が想像できないほど、演じる役のキャラクターの印象に引っ張られる “ザ・女優” のイメージだ。

でも、実は衝動的に一人ふらりとニューヨークに旅立つこともあるほど。旅の話を伺ったら、見かけによらず行動派なのだった。

 

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役を演じてないときの自分は
実体がなくてぼんやりしてます

――デビューからもう20年以上経ちますが、池脇さんは、野心とか自己顕示欲とか下心のようなものが、全くなさそうに見えます(笑)。これまでのキャリアの中で、有名になりたいとか、人気者になりたいとか、可愛く見られたいとか、そういう意識を持って “ガッついた” みたいなことはありますか?

池脇:アハハ。どうなんでしょう? まったくない、というわけでもないと思いますよ(笑)。もちろん、常日頃そういうことを考えているわけではないですし、振り返ってみても……うーん、やっぱりないのかな?

ただ、そう言えるのは今の私だからであって、10代の頃は、余裕もなかったし、少しはそういうことも考えて、焦っていたことはあったかもしれないです。……とはいえ、私、デビューしてすぐ人気者になってるんですよ。アイドルみたいに注目されて、可愛い可愛いって言われて(笑)。それで満足しちゃったのかも……。

でも、皆さんご存じないでしょうけど、こてんぱんに叩かれた時代もあったんです。これでも多少は、人生のつらい部分の味見もしていまして……。でもそうだなぁ、今は、欲があるとしたら、「いい映画に出たい!」ということだけですね。
 

画像1: ©森沢明夫/双葉文庫 ©2018「きらきら眼鏡」製作委員会

©森沢明夫/双葉文庫 ©2018「きらきら眼鏡」製作委員会

――池脇さんが考えるいい映画って、どんな映画ですか?

池脇:そうですね……“心に残る映画” かな。誰かに、「どの映画が好き?」って聞かれた時に、タイトルを挙げてもらえるような。

 
――『きらきら眼鏡』もそうですが、“心” の深い部分が描かれた映画に、よく出演している印象です。アクションものなんかで、観てシンプルに “スカッとする” 作品なんかとは縁遠い感じ。

池脇:好き嫌いに関しては、その人の生理みたいなものなのでわかりませんが、私の場合なぜか、そういう “心の深い部分を描いた” 作品のお話が来やすいんです(笑)。アクションものとか、お話をいただいたことがないので、台本を読んだことがない。もし、私のもとにアクション映画のオファーがあった場合、台本を読んで面白いと思ったらもちろん出たいですけど。来ないんです(笑)。

 
――でも、こうやってお話ししていると、池脇さんがこれまで演じてきた役柄は、どれも池脇さんの人柄と重なる部分がありそうだと思うようになりました。池脇さんは、女優というお仕事というか、これまで演じてきた役が、ご自身の人間性に影響を与えていると思いますか?

池脇:むしろ、私の人間性のほとんどは、これまで演じてきた役でできていると思います。私、役を演じているときの自分が一番自分らしいんです。演じていないときの自分は、実体がない。何だかぼんやりしている。

 
――女性は、自分の個性や好きなことが見つけられなかったりすると悩むものですが、池脇さんは、その実体のない自分が、不安になったりはしませんか?

池脇:ならないです。自分探しとか、自分磨きとか、そこまで興味がない(笑)。あるがままの個性は絶対にあると思っているので、それを憧れている何かになるために、見つけにいく気力もない。自分探しの旅とか、思いつきもしないですし、趣味も特にないです。
 

画像2: ©森沢明夫/双葉文庫 ©2018「きらきら眼鏡」製作委員会

©森沢明夫/双葉文庫 ©2018「きらきら眼鏡」製作委員会

――自分探しではなくても、ぶらっと旅行に行ったりはしますか?

池脇:旅は好きです。自分がどんなにちっぽけな存在かがわかるし、ハプニングとかトラブルとか、いろんな不測の事態が起こって揉まれて、強くなれる気がするので。ただ、衝動的に旅に出るのは、リラックスしたい時が多いですね。すごく忙しい時に、「この作品が終わったら遠くに行こう」とかご褒美的な感じで海外に出かけたりもします。

 
――一人旅もしますか?

池脇:衝動的な旅は、たいてい一人です。ニューヨークには何度か、あとはカナダやタイに行ったことも。ニューヨークは好きな街です。観光するというよりは、“暮らす” イメージですね。地下鉄に乗って、映画を観に行ったり、美術館に行ったり。街を歩くだけでも楽しいんです。ワクワクドキドキする。行く前は、「言葉も通じないし、大丈夫かな」ってちょっと不安もありますけど、現地に行ってしまうと、もう、町並みが違うだけで楽しくて。
 

画像: 役を演じてないときの自分は 実体がなくてぼんやりしてます

――見かけによらず、行動的ですね。

池脇:一人旅は、行動的というよりも衝動的です(笑)。もちろん、友達と一緒に、もう少し計画的な旅をすることもありますよ。

 
――お仕事ぶりを見ていると、どんどん歳相応の役と出会っていますよね。さっきの、“お芝居が実生活に多大な影響を与えている” というお話ではないですが、池脇さんは、実年齢とうまく付き合っている感じがします。

池脇:あー、若いときのほうが、背伸びがしたかったかもしれないですね。とにかく大人っぽく見られたかった。童顔だし、声もこんなだし(苦笑)。19歳の時に13歳に間違えられたことがあったんです(笑)。それが当時はすごく悔しくて、すらっとした感じのお洋服が着たいとか、無い物ねだりをすごくしてましたね。でも、仕事をしていくうちに、大人っぽく見られるとかどうでもよくなって……。人との接し方も学んで、似合うものも変わってきて。逆らっても仕方ないし、自然にあるがままを受け入れることを覚えたんだと思います。結局、若いときも、30代も、どっちも楽しいです。

 
――俳優という仕事の羨ましいところは、中年には中年の、おばあさんにはおばあさんの役があることです。死ぬまで仕事ができる。池脇さんは、死ぬまで女優でいたいですか?

池脇:そうですね。死ぬまでやれる仕事だと思うし、死ぬまで女優をやっていたいなと思っています。

 

PROFILE

池脇千鶴 Chizuru Ikewaki
1981年11月21日生まれ。大阪府出身。1997年「三井のリハウス」第8代目リハウスガールとしてデビュー。1999年『大阪物語』(市川準監督)で映画デビュー。2001年NHK連続テレビ小説「ほんまもん」主演。『ジョゼと虎と魚たち』(03年/犬童一心監督)、『そこのみにて光輝く』(14年/呉美保監督)で、国内外の数々の映画賞を受賞。公開待機作に『半世界』(阪本順治監督)、オムニバス映画『十年Ten Years Japan』などがある。

 

INFORMATION

映画『きらきら眼鏡』

画像: 映画『きらきら眼鏡』

「時間って命と同じだから、もたもたしてたら時間切れになっちゃうよ」。恋人の死を乗り越えられずにいた明海(金井浩人・新人)にそう教えてくれたのは、一冊の古本がきっかけで出会ったあかね(池脇千鶴)。いつも前向きで笑顔のあかねは、見たもの全部を輝かせるきらきら眼鏡をかけていると言った。でも、彼女もまた、余命宣告された恋人の裕二(安藤政信)と向き合うつらい現実を抱えていた――。TOHOシネマズ ららぽーと船橋で2018年 9月7日(金)より先行公開。9月15日(土)有楽町スバル座、9月29日(土)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー。

 
Photo:Aya Kishimoto Styling:Shihomi Seki Hair&Make-up:Noriyoshi Yamada Inteview&Text:Yoko Kikuchi

 

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