世界最大級の国際芸術祭である「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」(以下、大地の芸術祭)。今期はこれまでの作品群に加え、172点の新しい作品やプロジェクトを鑑賞することができます。

オフィシャルサポーターを務めるマクアケの取締役・坊垣佳奈さん主催のアート好き女子のための1泊2日ツアーに同行させてもらったので、見どころを2回にわたってお届け。後編では、廃校やレジャー施設を活用した大規模な作品を中心にご紹介します。

 

▼前編はコチラ!

 

2日目
アート好きにはたまらない作品を
5つのエリアを巡って鑑賞

画像1: ナウィン・ラワンチャイクン+ナウィンプロダクション『赤倉の学堂』

ナウィン・ラワンチャイクン+ナウィンプロダクション『赤倉の学堂』

2日目は、大地の芸術祭を構成する6つのエリア(十日町、川西、津南、中里、松代、松之山)のうち、5つのエリアを跨いで作品を鑑賞。最初の作品は、十日町エリアにある「旧赤倉小学校」を活用した、タイ人の作家、ナウィン・ラワンチャイクンによる『赤倉の学堂』です。

グラウンドにつくられたのは、バチカン宮殿にあるラファエロの名画《アテネの学堂》を模した大型絵画。ソクラテスやプラトンなど古代ギリシャの哲学者に代わり、赤倉集落に暮らす人々が描かれています。
 

画像2: ナウィン・ラワンチャイクン+ナウィンプロダクション『赤倉の学堂』

ナウィン・ラワンチャイクン+ナウィンプロダクション『赤倉の学堂』

また、体育館では住民全員にインタビューした映像が放映され、作家の人々との交流のなかで移りゆく心の動きを垣間見ることができます。地元に根付く大地の芸術祭らしい作品のひとつです。
 

同じく十日町にある「旧上新田公民館」を改修し、木造民家研究で知られる棟梁・田中文男の蔵書を展示した『妻有田中文男文庫』。韓国のアーティスト、羹愛蘭が手掛けた7色に光る本によるインスタレーションは、“持っている本がその人自身を表す” という考えのもと制作されました。作品の本と実際の本。既存の建築と新しい建築要素。これら対立的な要素の配置で、日常と非日常が揺らぐ状況が生み出されています。
 

公民館の2階に新しく展示されたのは、中国を代表するアーティスト、シュー・ビンによる、雪舟の水墨画をモチーフにした『裏側の物語』。表から見ると水墨画のようですが、裏に回ると木の枝や竹皮を用いた影絵であることがわかります。表と裏を何度行き来しても驚かされる繊細で壮大な作品です。

【Comment】
「生で見るほうがすごかった!公民館の建物も趣があって素敵でした」(木曽恵里夏さん)

 

続いては、川西エリアにあるファミリーゴルフ場「ナカゴグリーンパーク」に登場した『里山アートどうぶつ園』へ。芝生広場には、約30組の日本人作家による奇妙で愛らしい動物たちの作品が広がっています。
 

芝生広場から10分ほど坂を上ったところにある『光の館』は、光のアーティスト、ジェームズ・タレルの作品に宿泊することができる世界で唯一のゲストハウスです。スライド式の屋根が開き、四角く切り取られた空を見上げると、普段気に留めていない光の変化に気づかされます。

【Comment】
「光の館の素敵な空間と、窓の開閉が見られてとても感動しました。ぜひまたゆっくり遊びにいきたいと思いました」(内沢めぐみさん)

 

画像: 2日目 アート好きにはたまらない作品を 5つのエリアを巡って鑑賞

昼食は、松代エリアにある『奴奈川キャンパス』にオープンした食堂「TSUMARI KITCHEN」にて。ミシュランで星を獲得した「ジャン・ジョルジュ東京」米澤文雄シェフ監修の、地元の食材や郷土料理を取り入れたコースランチを堪能しました。オフィシャルツアー「カモシカぴょんぴょんコース」に参加すると食べることができます。
 

奴奈川キャンパスの緑が眩しい壁には、彫刻によってさまざまな森が描かれています。3年掛かりで彫り進めている壮大な作品です。教室では、すりガラス越しに黒板や実験道具などを展示。作品名の通り、学生時代のおぼろげな記憶が呼び起こされるような感覚に。
 

画像: 金氏徹平『SF(Summer Fiction)』

金氏徹平『SF(Summer Fiction)』

夏の間は使われない除雪車をしまっておく倉庫が、丸ごとインスタレーションになった『SF(Summer Fiction)』。映像や照明、冬しか使わない道具とのコラージュにより、“まだ見ぬ世界の想像の発生装置” と見立てた立体作品につくり変えています。
 

松代エリアの蓬平集落にある古民家を使った『影向(ようごう)の家』は、“消えゆくもの” “感じられるもの” を煙や光を使って表現。暗闇に浮かび上がり消えていくシャボン玉に、儚い美しさを感じることができます。

【Comment】
「真っ暗な世界の中に、不思議な空間が広がっているのがとても心地よかった」(木曽恵里夏さん)
 
「暗闇の中で少しの光の中でみるシャボン玉。シャボン玉の中に煙が入っているものもあり、割れる時の儚さ、浮かんでくる空間がとても綺麗でした」(櫻井聖子さん)

 

続いては松之山エリアに移動し、「旧東川小学校」全体で展開している大規模なインスタレーション『最後の教室』を鑑賞。響き渡る心臓の鼓動音と、暗闇の中をどこまでも続いているかのように並ぶ作品たちに少し不気味で不思議な感覚に包まれます。
 

画像: クリスチャン・ボルタンスキー『影の劇場 ~愉快なゆうれい達~』

クリスチャン・ボルタンスキー『影の劇場 ~愉快なゆうれい達~』

今期新しく加わった『影の劇場 ~愉快なゆうれい達~』は、小さな窓から中をのぞき込むと骸骨やコウモリ、天使など、生と死の狭間をゆく生き物たちの影絵が壁面に映っています。幻想的でユーモラスであり、子どもの遊びのように見えるが、光と影と戯れながら踊る生き物は、“誰しにも普遍的に訪れる死” をテーマにしているそう。

【Comment】
「廃校全体を使って表現されたアートだったこと、心臓音や映写機の悲しげで不気味な光など身体に焼き付くように強く印象に残っている作品だったので、もっとアーティストのことを知ってみたくなりました」(成田静香さん)

 

最後の作品は、津南エリアにある磯辺行久の『サイフォン導水のモニュメント』。地下280mにわたって埋没されている水力発電のための暗渠を流れる水の動きと音を可視化したダイナミックな作品です。日没後は、作品内部のライトが光り幻想的な表情を見せてくれます。

コンセプトのひとつである “あるものを活かして” 生み出される大規模な作品は、美術館という決まった空間ではなかなか見ることはできません。ぜひ大地の芸術祭に足を運んで、実際に体感してみてください。

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2018
会場:越後妻有地域 (新潟県十日町市、津南町)
開催期間:2018年9月17日(月)まで
2018芸術祭作品鑑賞パスポート¥3500、高・専・大学生¥3000、中学生以下は無料
http://www.echigo-tsumari.jp/

 
Composition:Aiko Sugiyama

 

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